2011年9月12日月曜日

畝畑の野尻さんと畝畑への道の情報

(もっと写真を見たい人はMatsup's Motorcycle Siteを見てくださいな)


追記):2013年4月に野尻さんに会いました。お元気にされておられました。

まず,結論から書こう。2011/9/11 現在の情報として,熊野川町畝畑にお住まいの野尻皇紀さんはお元気だそうです畝畑に通じる県道229号線は路面崩落と法面崩落のため,熊野川町側も古座川町側も通行不能です。
追記)10/5 に野尻さんからメールが来ました。9月中に電気も復旧し,10/1には県道の仮設橋も完成して孤立状態から抜け出せたそうです。仕事が1ヶ月遅れとのことでした。しかしご無事で何よりです。

 昨日,熊野川町畝畑にお住まいの野尻さんの安否を確認すべく,バイクで畝畑に向かってみた。NHKの和歌山放送局の情報によると,畝畑は孤立地区で6名の方がおられるが,物資も運ばれ衛星電話もある,とのことだった。しかし,それ以上のことはわからなかった。で,気になったので行ってみた,というのが今回の記録。

 いろいろネットで見たところ,三重県の紀和町には行けそうだったので,紀和町から熊野川町日足にある三和大橋を目指してみた。道中の写真の多くは別のサイト(Matsup's Motorcycle Site)に載せておいた。道中何箇所が難しい場所はあったが,なんとか三和大橋,そして熊野川町日足に辿りつけた。三和大橋は話には聞いていたが,路面まで冠水した様子が見て取れた。欄干に流木が多数残っていた。まだ橋の手入れまで手が回っていない感じだった。三和大橋は公式には通行止めだった。理由は,路面に泥が残りスリップの危険があるのと,道の両側に流木が残っているから,などと思われる。見た感じは綺麗な路面に見えたのだが…。どうしてもの場合には通れないことはないと思う。もう通行止め解除されてるかもしれない。

 それにしてもあの橋の上まで水が上がったのは想像を絶する。地元の方々の被害は相当なものだと容易に想像できる。日曜日は天候がよかったため,皆さん家財道具を家から出して,路上に積まれていた。きっと全て処分しないと仕方ないと思う。国道168号線の路面には泥が残り,乾くとホコリが舞い上がり,濡れるとヌルヌルで危険だった。散水車で泥を取り除く作業をされていたが,まだしばらくかかりそうな感じだった。自衛隊や他の自治体の災害支援車両等を数多く見たが,もっと多くの組織的な支援が欲しい,と感じた(個人的には何もできなかったので,偉そうにはいえないが…)。

 最終的に,新宮市熊野川町日足,さらにその奥の熊野川町小口まではあまり苦労せずにたどり着くことができた。現時点(2011/9/11時点)では,熊野川町日足までは,熊野市方面から国道311号線で紀和町を過ぎ,瀞大橋を超え,国道311号線が国道169号線と合流する竹筒,国道169号線の四瀧トンネル,宮井大橋,国道168号線経由でたどり着くことが可能である。ただし,国道311号線は瀞大橋を過ぎて狭くなる箇所から国道169号線と合流する竹筒までは交互通行となっていたので,それなりの時間がかかる覚悟が必要である。また,国道169号線と合流して,道幅が広くなった所にある四瀧トンネルは,内部が真っ暗で,かつ路面に泥があるみたいで滑りそうな感じで怖かった。国道168号線は新宮から本宮までは公式には通行止めとなっている(9/12には宮井大橋から本宮までは通行止めが解除になっていた)。宮井大橋〜日足間でも,路面には泥があり,その泥を横に押しのけて積んであったり,周囲の家から出された家財道具などが積まれていたりして,充分な道が確保されてはいない。また,道路自体をきれいにする作業や,家々の片付けなどをされているので,気を付けなければいけない。そのための通行止めであり,宮井大橋から日足まではなんとか(泥だらけになりながら,スリップや作業車,作業されいている方々に気をつけて,ゆっくりなら)走ることはできる。熊野川町日足から新宮までは行けないらしい。新宮市の職員の方がそうおっしゃっておられた。具体的な理由(法面崩落なのか,道路自体が落ちてるのか,など)はわからないが,いけないみたい。ちなみに道の駅・瀞峡街道熊野川も「かあちゃんの店」も流されてなくなった,と聞いた。宮井大橋と日足地区の間には志古地区があるが,その付近は車が路上に転がっていたりして,まだまだ復旧の手が足りていない感じだった。瀞峡観光のウォータージェット船乗り場のドライブイン志古は,めちゃめちゃになっていた(どこかのサイトでジェット船自体は大丈夫とのことだった)。

 さて,肝心の畝畑だが,畝畑に行くには和歌山県の県道229号線を通って行かないといけない。熊野川町日足から小口に行き,そこからr229で畝畑を目指す。小口から畝畑までは約 13 km あり,途中に大きめの長瀞橋があり,さらにトンネルが5本ある。今回,小口までいけたので,せっかくだからと思って(無謀にも)リッターのツーリングバイクで畝畑を目指してみた。路面には木の小枝や葉っぱ,角張った小石が随所で散乱している状況だった。場所によっては全く通常っぽい路面の所もあるが,ほぼ全線にわたって緊張を強いられる状況だった(特にパンク)。長瀞橋までで2箇所か3箇所,法面が少し崩れていた。しかし,小型の自動車なら通れる幅は確保されていた。また,路面には車が何度か通った新しい轍があり,畝畑まで行けるのではないか?と希望を抱かせてくれた(実際には路面崩落のため,バイク・車では畝畑には行けない)。長瀞橋を過ぎて,1号トンネルと2号トンネル(小口から見た番号)の出口はそれぞれ法面から礫が多数落ちてきていた。オフロード車なら通れる感じに踏み固めてあったが,リッターバイクでは恐怖だらけだった。その後も数箇所で石ころだらけの部分(長さ 1m 程度や,1m 未満)が数箇所あった。それでもなんとか5号トンネルを超え,もうちょっと行ったら阿修羅橋(誰かがあしゅら男爵みたい〜,と書いていた橋。正式名称はなんだっけ?)だ,と思っていたら,そこに数台の車と10人ぐらいの人がいた…。私のバイクに気づくと「あー,この先は行かれへんでぇ!」との声。実はその付近で長さ 10 m 程度(目測なので実際の長さは不明)にわたって法面が崩れ,路面ごとなくなっていた。せっかくそこまで頑張ったが,さすがにその先はバイクでは無理だった。残念。そこにおられた方々は中部や九州から応援で来られた国土交通省の人達で,崩落現場を見てどうやって復旧させるかを検討されている,とのことだった。日曜日なのに皆さんご苦労様です。逆に,国土交通省の方々に「あんた,こんなバイクでよう来たねぇ」と呆れられてしまった…。うーん,邪魔しただけだったみたい…。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。

 しかし,r229が崩れている場所から野尻さん宅までは歩いて1時間程度の距離らしかった。実は,新宮市の職員の方が数名,崩落現場から歩いて野尻さん方まで行かれ,戻ってこられたところだった。野尻さんやご家族の安否を尋ねると,「野尻さんもご家族も元気にしてはりますよ。行ったら逆にお茶出してくれはりましたわ。停電みたいやけど,発電機使ってはりました。この先(崩落現場の先)の道はどうってことなくて,物資はここまで車で持ってきて,反対側に野尻さんが車で来はって受け渡してます。消防の方から衛星電話も借りれたみたいですし。畝畑から先も県道が2箇所崩れてるらしくて,係長を車で案内するって言うてはりましたわ」とのこと。係長さんはその後野尻さんの車で崩落現場そばまで送ってきてもらったらしい。でも野尻さんはすぐに引き返してしまわれたので,お顔を拝見することはできなかった。午後1時ぐらいだったので,畝畑まで歩いてもよかったのだが,道路復旧作業(現時点では下見だけだったけど)の邪魔しても悪いし,バイクで小口まで無事帰れるかどうか(パンクの危険が大きかった)もあったので,野尻さんご家族の無事を確認したというこで今回は引き返すことにした。早い時間で後方に人が大勢いればパンクしても修理可能だし…。
  川上村迫の国道169号線崩落現場

  茶色く濁った池原ダム湖

  三重県道40号線の崩落現場

  水没した三重県道740号線

  冠水した三和大橋

  国道168号線から見た三和大橋

  冠水した道は泥だらけだった

  まだ手付かずの車

  国道168号線志古に残る軽トラ

  ドライブイン志古もめちゃくちゃ

 川は茶色いが空は悲しいくらい青かった

 その後,なんとか運良く小口までパンクせずに走れた。帰りは小口,日足,志古,宮井大橋,竹筒,瀞大橋,紀和町と走って,その後国道311号線で熊野市に出て,国道42号線で帰ってきた。国道42号線は,矢ノ川峠区間で3箇所(だったと思う)交互通行だったが,いずれも距離はそんなに長くなかったので,すぐに通過できた。その後は国道42号線,紀勢道ともに順調に走って帰ることができた。

 今回の水害は,四国付近をゆっくり北上した台風12号によって長時間もたらされた雨によるものだが,明治時代の大水害も同様の台風が原因らしいとWikipediaに書いてあった。きっと明治時代の大水害の時も大変だったと思う。ヘリコプターもない時代なので,復旧も大変だったと思う。もう一週間以上経つが,山の奥地はまだまだ復旧していない。多くの方々の多くの支援が必要だと思われる。しかし,私には今何ができるのだろう?こうやって皆さんに伝えることぐらいしかできない。休みを取ってボランティアに行ければとも思うが…。
(もっと写真を見たい人はMatsup's Motorcycle Siteを見てくださいな)

2 件のコメント :

たっくまん さんのコメント...

初めてお邪魔しました。
実は昔NHKで放送されたドキュメントをこれまで10日以上見てきてしまった私です。何か自分の心に思うところがあるんでしょうが、今日久しぶりにドキュメントを見直しているとき
『今回の台風被害は大丈夫だったのか』と思い検索したところたどり着きました。ご無事なようで何よりです。

以前の放送では体調を崩されている様子で終わっていましたが、現在の暮らしはどうなっているのかと気になります。お子様も大きくなったでしょうし。。。。。

まずは『お元気』という情報を配信していただいたこと嬉しかったです。何かのご縁に感謝いたします。

おおうえ@広島

らいだぽよ さんのコメント...

たっくまんさま,

 コメントありがとうございます。
私自身が野尻さんの安否を知りたかったので,きっと多くの方も同じ気持だろうと思ってブログに書きました。一人でも安心してくださった方がおられるとブログに書いた甲斐があります。

 できれば今回も写真で野尻さんのお元気な姿をお見せしたい,と思ったのですが,道路や時間の事もありやむなく断念してしまいました。次の機会には是非ご本人の承諾をもらって顔写真を載せたいと考えています。

 ネットで見ると野尻さんを紹介したあのETV特集は反響が大きかったみたいですね。私は昨年秋に直接野尻さんにお会いする機会がありました。その時は野尻さんの体調はよい感じでした。(その日はご家族には会えなかったのですが…)先週の9/11(日)に新宮市の職員の方々に聞いた感じでも大変お元気そうな感じでした。お仕事はいろんな方が所有されている山の管理の仕事をされているようです。

 ブログの中にあるバイク用のサイトには道中で撮った多くの写真があります。当地はまだまだ復旧が進んでいない所が多くあります。当地の被害の状況を少しでも皆さんに知っていただきたいと思っています。時間があれば見てやってください。

らいだぽよ