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2011/11/26 に五條から南の国道168号線を走ってみた。
2011年9月3日から4日にかけて紀伊半島を襲った台風12号に伴う豪雨(台風自体は四国から岡山へ抜けた)で,紀伊半島は大変な被害を受けた。紀伊半島を新宮から五條へ南北に貫く国道168号線も多くの箇所で寸断され, 1ヶ月以上にわたって不通の区間が多く残っていた。しかし,それも工事関係者の努力によって,10月30日に迂回路や交互通行を使って昼間のみだが一般車両が全線で走行が可能となった。(夜間は土砂ダムを警戒して不通の区間があるため,大型車両は迂回路の制限のために,全線通行はまだできない。 R168やR169の迂回路に関しては奈良県の報道資料(pdf)を見て欲しい。)そこで,寒さにめげずに復旧(仮復旧?)した国道168号線を五條から新宮まで走ってみることにした。
当日は天候がいいのは知っていたが,朝の気温が上がらなかったので,出発を躊躇してしまった。しかし,11月に入ってからの用事や天候不順のために国道168号線を走れずにいたし,今回を逃すと来シーズンまで持ち越しになりそうだったので,いっぱい着込んで出発することにした。今回は上はTシャツ,防寒用タイツと同じ素材のインナー,綿のシャツ,ウールの薄手のセーター,ツーリングジャケット,雨合羽と6枚重ねとした。下もパンツの上に防寒用タイツ,山登り用のサポータタイツ,革パンツ,雨合羽と4重に重ねて防寒した。いっぱい着込んだ甲斐があり,寒さはいうほど辛くはなかった。
国道168号線の走行ルートは北の五條から新宮に向かうことにした。それは五條市と十津川村の被害が大きかったのでその付近を早めに走りたかったのと,お昼ごはんにおいしいお寿司を食べたいと思ったからだった。
国道168号線は,五條から大塔にある道の駅吉野路大塔までは今までとあまり変わりがない感じがした。しかし,R168から天川村に抜ける県道などは通行止めや通行制限があるみたいだった。 R168も道の駅吉野路大塔を過ぎて猿谷ダムのダム湖畔に降りると見た感じがかなり変わっていた。まず,秋だからかもしれないが,ダムの水位がすごく下げてあった。そして湖畔の水面に近い部分がかなり水で洗われた感じが見て取れた。それでも猿谷ダムを過ぎるまではいうほど目立った被害は見れなかった。
猿谷ダムの堰堤を過ぎると辻堂という集落にやってくる。ここには国道168号線の最狭区間があるのだが,その最狭区間付近の横の斜面が崩れて,R168は通行できなくなっている。この辻堂を避けるようにバイパスを建設中だったのだが,現在はそのバイパスを利用して迂回路が作られていた。しかし利用できるのは辻堂の先に架かる橋だけで,その橋までのアクセスには堂平地区へ行くための赤い堂平橋と狭く急な上り道を使わなければならない。そのため大型車両が通行できなくなっているし,一般車両も交互通行となっている。現在,バイパス予定部分に大型車両も走行可能な仮設高架橋を作って,当面の対策とするみたいだった。
辻堂の交互通行区間を過ぎるとすぐに2004年に大崩落した斜面が見えてくる。その斜面は大規模な補強がされ,R168も架橋によって崩落部分を避けるように復旧している。今回,その先の宇井地区でR168の対岸(県道734号線がある岸)の斜面が大崩落し,崩れた土砂が川の対岸の宇井地区の住居を襲い,多くの犠牲者がでた。 R168自体はふれあいトンネル区間で通行に支障はないが,旧道部分やその側の住宅は軒並み土砂に押し流されたみたいだった。
その先の宇井地区の夢の湯を過ぎた辺りの城門トンネルから塩鶴,長殿を越えて田長瀬に至る区間は,長殿や赤谷にある土砂ダムの崩壊を警戒して午後10時から午前7時までの夜間は通行できなくなっている。その区間の最初と最後は改良され片側一車線となった区間だが,途中の塩鶴から長殿にかけては1.5車線区間が残っていた。今回,長殿付近で数カ所崩落があり,R168は一時遮断されていた。そこもバスストップシケイン状の迂回路が作られたりして走行可能となっていた。長殿発電所は完全に崩壊して残骸が残るのみであった。長殿の先,小休場橋から田長瀬トンネルにかけては橋とトンネルで改良された区間となっているが,その区間の旧道が走っている付近では数カ所大きな崩落が見られ,河原はかなり土砂で埋まった感じだった。田長瀬橋から見えていた旧道のロックシェッドは崩落と共にほぼ完全に消え去っていた。その先も川沿いや河原はかなり洗われた感じだったが,それ以外の部分は大きな被害が見て取れなかった。もしかしたら被害があったかもしれないが…。その先の谷瀬の吊り橋は健在だった。紅葉の季節だが,さすがに観光客の姿は見えなかった。最近谷瀬の吊り橋を渡ったことはなかったが,今回は急に渡りたくなって数年ぶりに吊り橋を渡ってみた。橋の下や上流のキャンプ場は土と泥で埋まっていた。やはり自然の力にはかなわない。
谷瀬の先は風屋ダムのダム湖畔を走るが,いうほどの被害は見て取れなかった。しかし,風屋ダムを過ぎると,対岸の斜面が崩落して川沿いの住宅が流された野尻地区などがあり,多くの被害を目にした。国道168号線は十津川村役場や道の駅がある付近から折立までバイパスが完成していた。そのため通行には大きな支障はなかった。バイパスはトンネル2本であっという間に折立までいける。以前はこの付近には離合不可能な細いロックシェッドがあり,大型バスやダンプが来るとすぐに渋滞していたものだった。それが今じゃあっという間に折立までいけた。折立にある折立橋も洪水で流された。橋の北半分は残っているが,南半分が流されてしまった。この区間には仮設橋がかけられて,国道が復旧していた。橋の下流側に流された橋の鉄骨らしきものが見えたりもした。折立から十津川温泉までは順調だったが,その先の果無区間では路盤が大きく崩落した箇所があった。現在は山側を削って交互通行できるようにしてあり,大型車も通行可能と思われる。その先の二津野ダムまでの区間は改良工事中で,平日の昼間には時間制限があるみたいだった。
二津野ダムを過ぎると七色高架橋があり,土河屋から和歌山県に入る。和歌山県に入ると熊野川は広い河原を持つ。その辺りは何箇所か交互通行があったが,通行に支障はなかった。本宮ではSAVE KUMANOショップに寄ってみた。せっかくなので柚子味噌と鮎味噌をお土産に買った。何かしら買うことで少しだけでも貢献できれば,という思いもあったからだが,単純においしいから買ったというのが正しい。本宮から先は,請川,熊野川町など洪水の被害が大きかったゾーンを走る。 R168もかなり水をかぶった区間であり,路側の小石避けの網のかなり高い部分にまで草がひっかかって残っていた。熊野川町ではAコープが水没で営業できなくなっており,熊野川行政局で仮店舗で営業しているとのことだった。しかし土日は休みで,今回は寄ることができなかった。
熊野川町から先に道の駅瀞峡街道熊野川があった。洪水で道の駅や川舟センターは多くが流されて壊滅状態だったのだが,今回行ってみると瓦礫が撤去されており,道の駅や川舟センターがあった辺りは更地になっていた。道の駅の先にあったはなじろ茶屋も基礎しか残っていなかった。はなじろ茶屋のあったところから林道を走ると鼻白の滝を滝にいけるが,その辺りは岩が流れてきたりして林道がまともに走れない状況というのをネットで見ていた。しかし,今回走ると上の方まで林道は通行可能だった。少なくとも鼻白の滝を遠望できるポイントまでは大型二輪でも走行可能だった。鼻白の滝は見た目は以前と同じように見えた。その滝をみてちょっとだけほっとした。鼻白の滝の少し南の国道168号線沿いに白見の滝があるが,白見の滝付近はえらいことになっていた。滝の上流から大量の岩が流れてきて,滝壺付近を完全に埋めてしまっていた。滝の前にかかっていた旧道のコンクリートの橋もほぼ埋まってしまい,滝の様相が一変していた。逆に対岸の滝や白見の滝のちょっと北にある滝がよく見えるようになっていた。またその付近から新宮にかけては何箇所も斜面が大きく崩落した形跡があった。国道168号線も交互通行区間が10カ所程度あり,復旧に時間がかかったのがうなずけた。
今回は復旧してあまり日が経っていない国道168号線を走ってみた。まだまだ傷跡は多く残っていたが,道がかなり復旧して,そこかしこに活気が戻ってきているような気がした。来シーズンも開幕時にはまず紀伊半島を訪れたい。
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