2010年7月11日日曜日

国道169号線と安川大塔川林道に挑戦

 2010年7月10日,梅雨の晴れ間に紀伊半島に行ってみた。それまで数日雨だったので,川は水が多いし,路面はそこら中で濡れてる,という状況だったが,用事や雨で全然バイクに乗れていなかったので,どうしても走りに行きたくて走りに行った。目的地はとりあえず国道169号線を走り,瀞峡付近を越えて国道168号線に行くことにした。その先はダートが10kmほど残る安川大塔川林道の入口まで行き,行けそうならリッターのオンロードバイクでダート10kmに挑戦する,というある種無謀な挑戦をすることにしてみた。(註:安川大塔川林道は結構危険なので,オン,オフに関わらず,技量のない人は行くのはやめた方がいいと思います。)

 出発は少し遅めで午前7時前だった。いつものように吉野経由で国道169号線に入って,一気に北山村の道の駅おくとろまで走った。途中,「国道を行く」のために吉野から国道169号線の写真を撮ってもよかったのだが,出発が遅かったし,あまり気力もわかなかったので,熊野市の国道309号線との分岐点までは写真を撮らずに走ることにした。吉野から大滝ダム,大迫ダム,新伯母峰トンネル,上北山村,池原ダムと走って,順調に国道309号線との分岐まで走れた。梅雨の晴れ間のせいか,どこも車が少ないように感じた。

 国道309号線との分岐から先は,写真を撮りながら走ることにした。理由は,国道309号線との分岐から先の国道169号線は,狭い区間が続き,よく工事などで通行止めや時間通行制限が実施されている。そのため通れない時もあったりする。 7月10日は全線で通行が可能だったので,走れる時に写真を撮っておこうという作戦。国道309号線との分岐から国道169号線は和歌山県の飛び地である北山村を通る。国道309号線との分岐から七色ダムの先までは狭路区間だが,舗装を直してあって,かなり走りやすかった。ただし,普段北山村に行くには,下桑原にある大里トンネル出口から県道229号線,不動トンネルを通るルートの方が近く,道幅もあるので走りやすい。

 北山村にある道の駅おくとろで休憩してから,さらに西を目指した。そこから小松までは昔から国道169号線があった区間である。私がバイクに乗り出した頃は,国道169号線は北山村の小松の先から熊野川町の田戸まで未開通となっていた。しかし,今では小松から田戸まで高規格道路の橋とトンネルで結ばれていて,あっという間に辿りつける。田戸には田戸橋という赤い大きな橋があるが,以前はここまで来ると地の果てまで来た感じがしたものだった。その先も田戸隧道という細長い隧道をパスするように瀞峡トンネルという立派なトンネルができて,昔に比べるととても楽に田戸に辿りつけるようになった。しかし,瀞峡トンネルから先はまだ狭路区間が残っている。その区間では,このご時世で簡単には大規模な新道は作れそうにないので, 2010年秋まで時間通行制限をしながらちょっとした道路の改修をするみたいだった。国道169号線は国道311号線との分岐点を過ぎて,四瀧トンネル手前の集落までは狭路区間が残っている。四瀧トンネルは,昔の離合困難な狭路区間を避けるために作られたトンネルであり,これまたコストパフォーマンスの悪そうなとても立派なトンネルとなっている。そこを過ぎるとあっという間に宮井で国道168号線に突き当たった。

 そこから予定通りに川湯経由で安川大塔川林道入口を目指してみた。一応林道の様子を見てから突入するかどうかを決めるつもりでいたが,なんとなく最初から今日は林道を走りきれそうな感じがしていた。(結果的に運良くパンクもなしに行けたからよかったけど,途中はかなりどきどきだった…)川湯から安川大塔川林道までは県道241号線(請川静川線)を走る。この県道は国道168号線近くで県道45号線から分岐して,安川大塔川林道の手前までの県道みたいだった。県道241号線は静川の集落があるところまでは舗装もきれいにしてあったが,集落がなくなった途端に舗装が荒れていた。途中,高倉神社というところのそばにあった滝を見て,写真を撮っておいた。そこからちょっと行くと安川大塔川林道の入口があった。そこはホイホイ坂林道の入口でもある。ホイホイ坂林道は畝畑まで行く林道であり,入口からしばらくは舗装された林道となっている。しかし,安川大塔川林道は入口から10.3kmにわたってダートが続いている。オンロードのリッターバイクで突入するにはかなり覚悟が必要だった。そこで,数百メートル歩いて,安川大塔川林道の路面の様子を探ってみた。入口のダートは轍に大きな石もあまりなく,しっかり踏み固められていて,オンロードバイクでも余裕そうな感じがした。そこで覚悟を決めて安川大塔川林道に挑戦してみた。後で考えてみたら,雨が数日続いた後だったので,ダートの路面は水で削れていたような気もする。そう考えると,雨の後のダートにオンロードのリッターバイクで突入するのは無謀だったかもしれない。まぁ,なんとか無事通過できたのでよしとしておこう。

 安川大塔川林道は断崖絶壁を走るダート林道であり,雨上がりのためにそこら中に水溜りや,洗い越し状態のところがあった。水が流れていたり,流れた跡のところは細かい砂が流されて,数センチ以上の大きめの石がいっぱいの轍となっていた。ただ,石のほとんどは丸みを帯びていたので,結果的にパンクはせずにすんだみたい。ただ,リッターバイクだとパワーがありすぎて,こかさずに走るのはとても気を使った。きっとオフロードバイクでダートをいっぱい走ってる人には簡単な道なんやろなぁ,と思いながら走った。安川大塔川林道は本宮側から徐々に高度を上げていく。途中何本も素掘りのトンネルがあった。雨の後のせいか,トンネルの中は雨のように水が滴っていた。途中,素掘りのトンネル手前でバイクを止めて写真を撮っていたら,一台の軽トラに抜かされた。たった一台だけだったが,人がいるというだけで,すごく気分的に楽になった。いざとなればなんとかなりそうだからね。その軽トラの人は少し先の大きな素掘りのトンネルの手前に軽トラを止めておられた。話を聞いてみると,ニホンミツバチの蜜を集めているとのことだった。そのため,顔の辺りはネットをかぶって保護していた。その人の話によると,ダートでパンクはある程度仕方ない,とのことだった。特にタイヤがすり減ってくるとパンクしやすいらしい。しかし,舗装路に礫が落ちてるよりもダートの方がパンクしにくいということだった。舗装路だと石が路面にめり込まないので,もろにタイヤに負荷がかかるみたい。また,その人の話では,もう1kmほども行って登りになると舗装されると思うということだったので,ちょっと元気になって走ることができた。しかし,実際にはまだ3kmほどはダートだった。登りの半分ぐらいから上が舗装されている感じだった。登りではちょっと路面が柔らかくて,かなりオンロードバイクには辛かった。その登りの途中で,また別の軽トラに抜かれた。ダート区間で出会ったのはその2台だけだった。その先の舗装区間で軽自動車1台と対向したのだが,結局安川大塔川林道から国道371号線の合流点までに見たのは車3台だけだった。

 ダート区間の最後の方で,山の上の方に行く林道との分岐があり,一瞬どっちに行けばいいのか迷ってしまった。しかし,小さな標識だったけど一応標識があったので,その通りに走るとすぐにダート区間が終了した。さすがに舗装路を見た時にはほっとした。振り返って見ると,webで見た「ここからダート」という写真と同じ風景だったので,生きて帰れたぁ〜,と思った。そこからしばらく舗装林道を走っていると,いつの間にか国道371号線にでた。途中,修験の滝を見て,安川渓谷入口を見て,渓流美を堪能してきた。その後は疲れたので,丸山の千枚田だけを見て,さっさと帰ることにした。それだけでもかなりの労力が必要だが…

 国道371号線に出てからすぐに県道219号線の続きを走って鮎川に向かい,そこから国道311号線で川湯方面に引き返した。ルートとしてはかなり遠回りだが,楽に走れるコースを選んでみた。途中,眠くなったので,道の駅「熊野古道中辺路」で昼寝をした。その後,国道168号線,国道169号線,国道311号線で紀和町を通って,風伝トンネル手前で県道40号線に入って,丸山の千枚田を目指した。丸山の千枚田は稲が大きく育ち,一面青々としていた。天気がよかったので,総出で草刈りをしているようだった。展望台には相変わらず大きな三脚が並んでいた。ただ,カメラはなく,三脚だけずらっと並べてあった。場所取りかもしれないが,すごく迷惑な感じだった。なんか,とっても横暴な気がするなぁ。ぶつぶつ。丸山の千枚田からいつものように県道40号線で北山村に抜け,不動トンネルを通って下北山村から池原ダム,上北山村,新伯母峰トンネル,大迫ダム,大滝ダムと走って帰った。

 結局その日は500kmほど走った。国道169号線を満喫し,さらに安川大塔川林道をなんとか走破して,丸山の千枚田を見て帰る,という結構充実した日だった。梅雨の合間の貴重な晴れの日だっただけに,充実した日にできてよかったよかった。

もっと写真をみたい人はMatsup's Motorcycleを見てください。

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