2012年4月12日木曜日

なんでたばこふかしてる映像を使うかなぁ?

この間,ドキュメンタリー風の番組を見た。内容は,歴史に残る名曲を紹介するもので,私が見たのは Hey Jude だった。Hey Jude はポール・マッカトニーが,ジョン・レノンの子供のジュリアンに送ったらしい曲。当時,ジョン・レノンがジュリアンのお母さんと離婚して傷心だったジュリアンを元気づけるだめに作ったらしい。ただ,発売された頃は Jude がジュリアンではなくて,キリストと誤解されて,宗教を冒涜してるとか言われてた気がする。その歌がチェコ・スロバキア(現在はチェコとスロバキアに分かれている)の共産党支配からの開放の際に国民を勇気づける歌となった,というものだった。1968年のプラハの春の時のソ連による弾圧に抗議して,当時のチェコ・スロバキアのアイドル的な歌手,マルタ・クビショヴァーが発売間もない Hey Jude のチェコ語カバーをレコーディングしたというもので,それは当時の共産党支配下ではご法度行為だった。そのためマルタ・クビショヴァーは歌手活動から追放され,さらにろくに仕事をさせてもらえないという当時のチェコ共産党の非人道的な扱いを受けたらしい。その後,1989年のビロード革命の際にみながマルタ・クビショヴァーの Hey Jude を精神的な拠り所として歌い,励ましあったというものだった。そのため,チェコでは Hey Jude は自由のための歌という感じになっているらしい。

 その番組の内容はとても心に染み渡るものなのだが,番組自体の出来はとてもいまいちに感じた。なぜかって,Hey Jude が如何にしてチェコ国民の反骨の歌になったかを淡々とドキュメンタリータッチで描いていた時はいいのだが,途中で,日本人(ちょっと微妙だが)のおっさん二人がラジオっぽいスタジオで,Hey Jude とビロード革命,マルタ・クビショヴァーについて語っている場面が多くでてきた。それが最悪で,番組の質をすごく下げていた。他のドキュメンタリータッチの部分のできもちょっといまいちっぽい感じだったが,おっさん二人のトークはいまいちどころか,番組のレベルを中から下の下に下げるぐらいひどかった。話してる内容も当時のチェコの人々やマルタ・クビショヴァーの心境,彼女のその後境遇とその苦労など全然知らないおっさんらが「偉そうに」語っていたのでとてもむかついた。おまけに,タバコプカプカふかしながら雑談してるとか思えない映像にさらにむかついた。マルタ・クビショヴァー自身や当時の夫のインタビューは貴重だと思うが,あのおっさん二人のトークはなんで必要やったのか全然わからへん。あのテレビ局もレベル下がったなぁ,と実感させられたドキュメンタリーでした。ちなみに,その番組は2000年頃に制作されたもので,今回はその再放送だったみたい。

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