2014年5月18日(日)に念願の七ツ釜滝を見に大杉谷を歩いた。
大杉谷の登山道は平成16年9月28日~29日の台風21号の被害の後,長らく閉鎖されていたが,2014年4月25日に全線が再開された。
2年ほど前から宮川第三発電所(三発)の登山口から七ツ釜滝までは通れるようになっていたのだが,
なかなかモチベーションが上がらず,七ツ釜滝を見に行こうとはならなかった。
しかし,2014年4月25日に全線開通というポスターを見つけて,急に七ツ釜滝を見に行こうと思い立った。
大杉谷を歩くパターンは,縦走しようと思うと奈良県の大台ケ原から下るパターン,三重県の宮川第三発電所前の登山口から登るパターンがある。
しかし,現時点では宮川第三発電所までの交通手段が大変不便である。
以前は船で大杉のバス停まで行くことができたみたいだが,現状は行きも帰りも4名以上でツアー形式のバスを乗車3日前までに予約しないといけない。
また,宮川第三発電所の発着がお昼ごろになるので,大台ケ原から下るにしても宮川第三発電所から登るにしても必ずどこかの山小屋に一泊しないといけない。
今回は日程的に1日だけにしたかったので,早朝に宮川第三発電所登山口を出発して,適当な地点までを往復するルートを歩くことにしてみた。
出発は午前3時半頃にした。明るくなった時点でできるだけ登山口に近い地点にいたかったので,出発は暗いうちにした。
紀勢道の大宮大台インターまで行き,大台町の道の駅近くのコンビニでおにぎりを買った。
そこから宮川ダムを目指し,さらにその奥の宮川第三発電所前の登山口を目指した。
宮川第三発電所前に着いたのは午前5時半頃だった。
そこでトイレに行き,登山セットに着替え,登山届を出して,としていると意外と時間をくい,出発したのは午前6時頃だった。
登山口は宮川第三発電所の横を歩き,発電所の裏に回る。
そこから短い階段を登ると登山道に入る。
そしてすぐに簡単なゲートがある。
その先は大日グラの鎖場になっている。
ここは大日グラの下を削って登山道を作った区間であり,道幅が狭いために鎖が張ってある区間である。
今回,転落防止のためにハーネスとカラビナ・ロープセットを持ってきたが,
鎖の支柱の間隔が狭く,カラビナを付け替えるのはあまりに頻繁になりそうだったので,ハーネスは使わなかった。
大日グラを過ぎると大日グラ吊橋を渡り,その後は川のそばまで下りたり,少し高い地点まで上がったりを繰り返して先に進んだ。
途中,能谷吊橋,地獄谷吊橋を渡るが,能谷吊橋は川の水量が少ない時には河原を歩くこともできる。
今回は往きは能谷吊橋を渡り,帰りは河原を歩いてみた。河原を歩くと傾斜を登らなくてもいいので,その点では楽だった。
その先地獄谷吊橋付近までも状況によっては河原を歩けるらしい。
地獄谷吊橋を渡って少し行くと宮川の水位観測所がある。
その地点を過ぎてもう少し行くと,河原に石畳状の区間がある。
その区間は増水時には歩けなくなるらしい。
その先,登山口から 2.1 km の京良谷出合から先は道は少し上に上がり高い地点を行くことになる。
登山道は道幅が狭い上に高い地点を行くので,転落の危険がある。
そのため,ところどころに鎖が張ってある。
また,鎖は無くても土の道の区間は沢側が柔らかいため,下手に体重をかけるとずるっと滑って大変危険だった。
そのために,できるだけいつも沢とは逆側を踏んで歩くようにしないといけなかった。
また,落葉が多い地点も踏ん張りが効かず歩きにくかった。
しばらく行くと,平成8年9月竣工の日浦杉吊橋を渡る。
この吊橋はかなり高い地点にあった。
この吊橋の前後は比較的高い地点を行くが,相変わらず通路は狭いので,注意が必要だった。
鎖場も数多く存在した。
やがて登山口から 3.2 km の水越谷出合を過ぎると,300 m ほどで千尋滝に着く。
この区間も鎖場やこぶし大のガレキがゴロゴロした区間などを通り,このルートがかなり危険である,というのが納得できた。
登山口から 3.5 km の地点に千尋滝がある。
千尋滝は登山道とは川を挟んだ反対側の上の方にある。
千尋滝の正面辺りに千尋滝を見るための東屋があり,屋根があるので休憩ができた。
千尋滝から 1.1 km でシシ渕に着くのだが,その区間もかなり激しい区間だった。
結構高い地点を行くので,当然のように鎖場が有り,場合によっては道幅がほとんどない箇所もあった。
また,アップダウンが続くため,平均するとあまり高度が上がっていないはずなのに,すごく足が疲れてしまった。
登山口から 4.0 km の表記を過ぎるとシシ渕までは 600 m ほどになるが,ここからがアップダウンが激しかった。
往きは良かったのだが,帰りは疲れもピークでこの区間が一番きつかった。
「シシ渕付近は特に転落の危険がある」という標識を過ぎると,急に下ってシシ渕付近の河原にたどり着く。
シシ渕は大きな岩に挟まれた淵であり,2つの岩の間からニコニコ滝が遠望できるポイントである。
河原には大きな石がゴロゴロしていて,河原まで下りれる地点となっている。
ここはよく大杉谷のポスターに使われる場所で,とても景色がよい場所である。
このシシ渕が見える地点(シシ渕の入口と言ってもいい?)からシシ淵にたどり着く区間は,少し険しい道となっている。
距離は短いのだが,鎖がないととてもじゃないがビビってしまいそうな地点である。
しかし,鎖があるのでしっかり鎖を持てばそんなに大変な区間ではない。
最後に大きな岩の裏を通ると,シシ渕のすぐそばに着く。
ここは登山口から 4.5 km の地点である。
登山道はここからシシ渕を高巻きするのだが,河原に下りると淵の向こうにニコニコ滝が見える絶景ポイントになっている。
ちなみに,水量が多くなければ大きな岩の裏を通らずに,河原の岩を渡ってシシ渕のすぐそばまで行くこともできる。
実際,帰りには大岩の裏は通らないルートを使ってみた。
シシ渕で景色を楽しんだら,平等グラそばを通って桃の木山の家まで登る。
シシ渕の先は,シシ渕を巻く(迂回する)ために急に高度を上げる。
そのため鎖が張ってあるのだが,鎖が2本張ってあり,とても危険だと感じる区間となっている。
シシ渕をでて一登りすると,木の扉(ゲート)があった。
このゲートはどういう時に閉めるのだろうか?
シシ渕を巻いていくとすぐにニコニコ滝の正面にでる。
ここは登山口から 4.8 km の地点である。
シシ渕から見たらニコニコ滝は向こうの方に見えるが,登山道を登るとすぐそこにニコニコ滝が見える。
ここにも屋根のある東屋があり,滝を見ながら休憩ができた。
ニコニコ滝正面から先はぐいぐい高度をあげて,平等グラ吊橋にたどり着く。
この吊橋は2012年(平成24年)3月竣工の橋で,平等グラ(の手前側の岩)が目の前に見える吊橋である。
ここは谷からまずまず高い地点に架けられている。
こんな所にどうやってこんな橋を架けたのだろう?
特に3月竣工ということは,1月や2月に作業をしているのだが,苦労が忍ばれる橋である。
この吊橋を過ぎると,さらに高度上げ,登山口から 5.5 km の地点にある平等グラのビューポイントにでる。
平等グラとは大きな岩が2つ同じ高さに立っている。
その平等グラを正面から見える場所であるが,木が茂っていていまいちはっきりとは見えなかった。
逆光だったし…。
さらに高度をあげて,加茂助吊橋を渡ると,後はほぼ水平に移動して桃の木山の家に向かう。
しかし,この区間もある程度のアップダウンがあって,疲れた足には厳しかった。
途中,登山口から 5.9 km の地点に不動谷出合がある。
ここは不動谷との分岐点であり,不動谷にはダムがあるため,大雨などの際には放水があって気をつけないといけないらしい。
不動谷出合から少し行くと桃の木吊橋を渡って桃の木山の家にたどり着く。
桃の木山の家は登山口から 6.2 km の地点にあり,普通の人なら4時間~4時間半程度でたどり着けるらしい。
今回は3時間ちょっとで歩いたのだが,おかげで後半足に疲れがでて帰りが大変だった。
桃の木山の家では 100 円でトイレを借り,その先,七ツ釜滝までの道やその先の話を聞いてみた。
そこでお兄さんに,七ツ釜滝の先も急な登りを登るとその先は平らなので,行ってみてはどうか?と勧められたので,
今回の最終の目的地を光滝にしてみた。
当初は七ツ釜滝まででいいや,と思っていたのだが…。
桃の木山の家をでると七ツ釜滝までは 700m ほどなのだが,ルートは急に高度を上げる。
当然鎖場があり,険しいコースとなっている。
途中,崖を削ってコースを作った区間があり,道としては迫力があり楽しげだった。
しかし,下は結構遠く,落ちると危険そうだった。
その先に行くと七ツ釜滝の一番下の滝が見えるが,七ツ釜滝前の東屋まではもうひと頑張りが必要だった。
その先でグイッと登ると晴れて七ツ釜滝の展望所に到着となる。
これでやっと念願の七ツ釜滝を見ることができた。
以前,バイクに乗る目的として日本の滝百選を見に行っていたのだが,近場の近畿地方で唯一行けていなかったのがここだった。
近畿地方では他にも行くのが大変な滝として,中の滝と双門大滝があるが,中の滝は大台ケ原の大蛇グラから一応は遠望できた。
また,双門大滝は以前片道3時間かけて頑張って歩いて行った事がある。
あの時も暑くて大変だった記憶がある。
しかし,七ツ釜滝は大杉谷の登山道が通れない,というのもあって二の足を踏んでいた。
2年ほど前から七ツ釜滝までは宮川第三発電所から往復できたそうだが,その時はバイク用に別の目的があったし…。
七ツ釜滝でしばし休憩してから,今回の最終目的地の光滝を目指した。
七ツ釜滝の先もやはり急な上りがある。
その上りで七ツ釜滝を巻いているのだから,それなりに上るのは仕方ないかもしれない。
その上りが終わると平らになり,七ツ釜滝吊橋を渡る。
そして岩場にへばりつくように進む。
ここは極端に狭い箇所もあり,とても危険な箇所の一つだと思った。
その先に崩壊地が見えてくる。
そこは大きな岩が沢山落ちてきた場所であり,沢に転がっている大きな岩がどうやってできたのかを実感できる場所だった。
崩れたのは右岸(上る際の向かって左)の斜面であり,登山道がある側だったのでしばらく通行止めの原因となっていたみたい。
崩れた先は反対側には届いていなかったので,登山道が反対側にあれば問題はなかったのかもしれない,と思った。
その場所は,大きな岩を削岩機で砕いて隙間に詰め,その上を歩けるようにしてあった。
場所によっては階段状にしてある場所もあった。
大崩壊地を越えると,すぐに光滝が見えてきた。
今年は5月に入って言うほど雨がなかったみたいで,光滝は流量が少なめだった。
光滝の先も登山道は急に高度を上げる。ここでも光滝を巻くために急に高度が上がるみたい。
しかし,その時点で10時40分だったのと,七ツ釜滝から光滝への上りで太ももが悲鳴を上げつつあったので,
桃の木山の家で決めたとおりに今回は光滝で引き返すことにした。
下りは上りよりもずっと早く進める,と思っていたのだが,それはとても甘かった。
なにせ,最後の方の上りで太ももがツリそうになっていたし,急な下りでは慎重に下らないと危険だったので,
下りといえども全然スピードが上がらなかった。
それでも長い休憩を取らずに死にそうになりながら下ってなんとか出発地点の宮川第三発電所まで戻ることができた。
途中,薄暗い所でぶれた写真があるかも,と思ったのと,下り向きの写真が欲しかったので,写真をいっぱい撮りながら下った。
大杉谷を下ってみて思ったのは,下りで一番気を使ったのはやはりとても急な地点だった。
下りで転落等の事故が多い,というのは納得だった。
人によっては下りの方が足にくる,というが,確かに下りが長いと危険だと思う。
しかし,大杉谷では下流の方に行っても登山道が狭く高い地点を行く箇所が多いため,急な下り以外でも危険な箇所が多かった。
特に,疲れた足で危険な箇所を行くのは慎重の上にも慎重でないといけなかった。
下ってくるとシシ渕から先はある程度下に降りた感じがするのだが,その先もまあまあ危険な箇所があり注意が必要だと思った。
また,川の高さまで下りてくる京良谷出合から先が長く感じた。
そこまで来るともう酷いアップダウンがないと安心したのだが,意外とその先の距離が長かった。
ということで,今回はなんとか無事に七ツ釜滝まで行って戻ってくることができた。
これで残るお気楽赤目四十八滝を見れば,近畿にある日本の滝百選を制覇することができる。
頑張って行きますか。
(もっと写真を見たい人はMatsup's Motorcycle Siteを見てくださいな)
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