2011年9月26日月曜日

台風12号の傷跡2

(もっと写真を見たい人はMatsup's Motorcycle Siteを見てくださいな)

2011/9/23 に災害後の紀伊半島を再び走った。今回も目的地は和歌山県新宮市熊野川町付近だったのだが,前回東から入り東に抜けたので,今回は西から入る道を走ってみた。できればボランティアをしたいと考えたが,事前に準備する必要のあるものが多く,また行き来にかかる時間と労力が足りずに今回も諦めてしまった。ちなみにボランティアをするには最低限次の準備が必要である。
 (1) 居住地の社会福祉協議会でボランティア用の保険に入ること。
 (2) 多くの場合はボランティアをする1日~2日前に連絡をして登録しておくこと。
 (3) ボランティア用の装備一式を用意しておく。
以上の事が必要である。ちなみにボランティア用の装備とは,丈の長く底の分厚い長靴,汚れてもよい長袖と長ズボン,手袋,ヘルメット,マスク,ゴーグル,ウェストポーチなどである。他にも飲料水,食料,宿泊する際には寝袋など,基本的に生活する装備一式を自前で準備しないといけない。これら一式を持って行くとなるとバイクではちょっとしんどい。なので車が使えないといけないし,保険に入ってないし,事前に連絡してないし… でも何かできないか,と思ったら,やっぱり走りに行って現状を報告するしかない,と思った。ただし前回と同じルートではいまいちなので,西からのルートを探ってみることにした。

 西からのルートに関しては,和歌山県の道路情報を参考にした。いつも見ている和歌山県道路規制情報以外にも,今回の災害後の本宮へ行けるルートの説明のサイトがあったので,それを参考にして行ってみた。大まかには,国道42号線は全線に渡って通行可能である。ただし,一部区間は交互通行になっていたりする。内陸部の道は国道も県道も通行止め区間が多いため注意を要する。走れるルートとしては有田インターから国道424号線で龍神村に向かうルート,龍神村から中辺路に抜ける県道198号線と水上栃谷トンネル,中辺路から本宮にかけての国道311号線,である。また御坊や川辺インターから国道424号線に向かう県道26号線も通行可能である。ただし,多くの道ではがけ崩れが多数発生しているため,いくつも交互通行区間が存在していたので通常よりも多くの時間がかかる。また本宮付近の国道168号線は通行可能であるが,北は十津川温泉手前の果無付近,南は宮井大橋までが通行可能であり,その他の区間は注意が必要である。南は実際には道の駅・瀞峡街道熊野川があった場所までは注意しながら走行できるが,それより南は工事関係の車両しか走れない。また,北に向かった奈良県内の情報はちゃんとは得られていないが,未だまともに走れる状態にはないようである。

 今回は阪和道の有田インターから国道424号線と県道198号線の水上栃谷トンネル,国道311号線を使って本宮を目指した。どこでガソリンを入れれるかがわからなかったので,有田インターを下りてからガソリンスタンドを探した。意外とインターチェンジのそばにはなく,しばらく県道を東に走って国道424号線に入った辺りにあった。国道424号線は修理川バイパスが崩落の危険があるとのことで通行止となっていた。そのため旧道が迂回路になっていたが,迂回路は1.5車線あったのでいうほど苦労せずに走ることができた。その先のR424は何箇所も交互通行の区間があった。多くは距離が短く,待ち時間が最大3分程度だった。交通量も少なかったので,今回は交互通行による大きな時間ロスはなかった。また,道の駅・しらまの里や道の駅・龍游は通常営業していた。県道198号線も交互通行区間があったが,基本的には快適に走れた。水上栃谷トンネルができて龍神村から中辺路までの交通が画期的に良くなったが,今回もあの道が重要な動脈になっている。

 中辺路から国道311号線を走ったのだが,国道311号線自体は中辺路から白浜に向かう区間で通行止がある。具体的には滝尻王子のある国道371号線との分岐の南で斜面が大きく崩落していた。そのため滝尻王子には行けるが,その先白浜には行けない,という状況だった。また国道371号線も滝尻王子から東に行く区間で通行止となっているので,平瀬方面に国道371号線で行くことはできない。中辺路から白浜方面に行くには,川辺インター付近まで戻るか,近露から県道217号線で平瀬に抜け,県道219号線で鮎川に抜け,国道311号線で上富田に向かうルートしかないみたいである。中辺路から本宮にかけての国道311号線は,基本的に走りやすかったが,何箇所も交互通行区間があり,一部ダート状の部分もあった。それでも大型車が走れるルートが確保されているので,大変重要なルートとなっていた。本宮や熊野川町から東への国道169号線と国道311号線のルートは,途中で長い区間交互通行となっているため,西側のルートが大変重要となっている。国道311号線に沿った場所は,がけ崩れや川の護岸の崩落等が見られたが,それ以外はあまりひどい被害は無いように見えた。ただし,見えただけなので,実際にどうかはよくわからなかった。少なくとも近露のガソリンスタンドやAコープ(スーパー)は通常営業していたので,食料品やガソリンスタンドを手に入れることができる重要な拠点と考えられる。
  流木だらけの椿山ダム

  国道311号線滝尻王子付近の崩落現場

  本宮大社のもうで餅屋さん

  クロネコヤマトの配送センター

  茶色く濁った熊野川

  道の駅・瀞峡街道熊野川があった辺り

  丸山の千枚田はきれいだった

  三重県道40号線の崩落現場

 川湯付近(本宮付近)で国道168号線に入って本宮を目指した。国道168号線は本宮の北にある土河屋から南は熊野川町日足付近まではかなり快適に走れた。 2週間前に来た時には国道168号線は埃まみれ泥まみれだったが,今回はかなり路面がきれいになっていた。そのため物流は大きく改善していると思われる。特に,配送拠点が大きく損傷しているはずのクロネコヤマトのトラックを何度も見かけた。多分別の配送センターを使って荷物を配送しているみたいだった。偉いっ!本宮の街の中も国道168号線沿いは見た目きれいになっていた。しかし,国道沿いの家々ではまだ片付けをされていたので,各建物の中の整理はまだまだこれからのようであった。その後,北に向かい,道の駅・奥熊野古道ほんぐうの北まで行ってみた。道は数箇所の交互通行を除いては走りやすかった。道の駅・奥熊野古道ほんぐうは短縮営業だったが,営業しているだけでなんとなく元気を感じた。また,当然ながら観光客はほとんど見受けられなかった。さすがに本宮大社にも人がほとんどいなかった。そのため,逆に厳かな感じがした。折角だから,多少なりとも足しになると思って,久しぶりに本宮大社にお参りして,お守りを買ってきた。

 本宮からは南に走り,道の駅・瀞峡街道熊野川のあった場所を目指した。途中熊野川町志古や日足を走ったが,ドライブイン志古は建物の中にあったがれきがかなり片付けられていた。また,電柱と壁に挟まれていた軽トラックも下ろされていた。日足付近も道端に積んであったがれきもかなり撤去され,道の泥もどけられてかなり改善されていた。しかし,神丸交差点の信号はまだ点灯していなかったので,停電状況はまだ一部残っているようだった。また,神丸交差点から南の国道168号線の整備はまだ不十分な感じだった。神丸交差点から南は道の駅・瀞峡街道熊野川の跡地までしか行けなかった。その先は一応通行可能となっているが,工事関係の車両しか通れないということだった。さすがにその先を見てみたい,とは言えずに今回は引き返した。帰りは宮井大橋から国道169号線・国道311号線を使うルートではなく,三和大橋から三重県道780号線と林道を使って湯ノ口温泉から紀和町に向かってみた。三和大橋は路面にあった木々はなくなっていたが,橋の欄干は一部壊れ,橋脚も傷んでいたらしく, 2t を越える車の通行は禁止になっていた。その先の県道780号線は,熊野川に近い辺りは路面や路肩に泥や埃が多くあったが,上流に行くに従ってきれいになった。その後,布引の滝への分岐を過ぎると山に入るが,途中がけ崩れのために通行止となっていた。その区間は林道で湯ノ口温泉そばを経由して瀞大橋に向かう。湯ノ口温泉のそばを通ると湯気が見えた。 2週間前に来た時には湯ノ口温泉は停電のために休業していたので,ついつい寄ってしまった。話を聞くと通常営業しているということだったので,折角なので温泉に入ってみた。ここも本宮大社と同じく久々の訪問だった。

 湯ノ口温泉で暖まった後はひたすら帰るだけだった。帰りのルートは丸山千枚田前を通り,三重県道40号線で北山村に抜けてから不動トンネル,国道169号線で北に向かうことにした。当日は快晴だったので,丸山千枚田はとても綺麗に見えた。県道40号線の路肩崩落箇所はそのままの感じだった。一番ひどい場所は崩落の大きさは同じ程度だったが,沢からの水量が増えた感じがした。当日は快晴だったのに未だにいっぱい水が流れていたのは,それだけ山が水を含んでいるということみたいだった。北山村ではおくとろ温泉がどうなっているかが気になったので,おくとろ温泉に行ってみた。おくとろ温泉横のレストランと売店は営業していたが,おくとろ温泉自体は源泉ポンプが故障中で温泉の営業はしていなかった。それでも施設自体は大丈夫だったので,比較的復旧は早いと期待している。北山村からは不動トンネルを抜け,国道169号線を北上した。国道169号線は川上村の迂回区間までは快適だった。池原ダム湖横にあった交互通行区間も規制が解除されていた。迂回区間では対向が来るまで15分ほど待たされたが,完全に止まっていたのでよい休憩になった。その後吉野にある柿の葉寿司と鮎料理のお店,平宗本店に寄って柿の葉寿司を買って帰った。
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2011年9月15日木曜日

台風12号の被害(熊野川町付近)

2011年9月の台風12号の被害の様子のわかる写真や動画で気になったものを載せます。

(0) まずは私自身のサイトから
畝畑の野尻さんと畝畑への道の情報 :このブログの1個前の投稿
Matsup's Motorcycles:上記の記事の元(写真も文章も多すぎるかも…)

(1) 熊野川町日足の洪水の写真
Twitter @aDandyInAspic:日足地区の冠水時と水が引いた後の写真へのリンク
 川とは思えない水量である!!最初見た時にはどこかの湾だとおもってしまった。水が引いた後の写真では国道に沿ってすごい埃が舞っているのがわかる。
熊野川の水害の様子:同じadandyinaspic1氏のFacebookにある被害写真

(2) 和歌山の被害の様子(写真等も)
『ほっと!和歌山県』~和歌山県広報リレーブログ~:多くの写真が載っている。
 ・台風12号被災状況報告(9/11 古座川町・田辺市本宮地区)
 ・台風12号被災状況報告(9/10 新宮市・那智勝浦町)

(3) 熊野川町付近の被害の様子の写真
われに還る熊野(9/12):被害状況がわかる写真
 私が撮ったのと似た構図のものも多い。また,熊野川町の道の駅・瀞峡街道熊野川の様子もわかる。

(4) 熊野川町付近の被害の様子の写真
熊野古道なかへち 川井オートです!:中辺路や本宮の被害状況がわかる写真

(5) 十津川村 助け合いマップ (Google Maps)
 Google Maps を利用した助けあい(情報)マップ:十津川村助け合いマップ

(6) 台風12号の被害と復旧・支援情報マップ (Google Maps)
 Google Maps を利用した復旧・支援情報マップ:台風12号の被害と復旧・支援情報マップ 

(7) 動画 (YouTube):新宮市熊野川町日足付近で熊野川が氾濫している様子の動画
 紀伊半島・台風12号の大水害の様子(旧熊野川町)9月4日 by adandyinaspic1 氏
  最後の方に望遠で三和大橋が冠水しているのがわかります。

(8) 動画 (YouTube):新宮市熊野川町日足付近で熊野川の水が引いた後の様子
 紀伊半島・台風12号の大水害 水が引いた後の様子(旧熊野川町) 9月7日 by adandyinaspic1 氏
  泥が乾いてものすごい埃が舞っています。

(9) 動画 (YouTube):水が引いた後の国道168号線,新宮市熊野川町日足付近
 台風12号 熊野川町日足〜三和大橋まで by e333t 氏

(10) 動画 (YouTube):水が引いた後の国道168号線,新宮市熊野川町日足~志古
 台風12号 熊野川町日足〜志古まで by e333t 氏

(11) 動画 (YouTube):水が引いた後の三和大橋
 紀伊半島の台風12号の水害 9月7日 三和大橋から見える熊野川 by adandyinaspic1 氏

2011年9月12日月曜日

畝畑の野尻さんと畝畑への道の情報

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追記):2013年4月に野尻さんに会いました。お元気にされておられました。

まず,結論から書こう。2011/9/11 現在の情報として,熊野川町畝畑にお住まいの野尻皇紀さんはお元気だそうです畝畑に通じる県道229号線は路面崩落と法面崩落のため,熊野川町側も古座川町側も通行不能です。
追記)10/5 に野尻さんからメールが来ました。9月中に電気も復旧し,10/1には県道の仮設橋も完成して孤立状態から抜け出せたそうです。仕事が1ヶ月遅れとのことでした。しかしご無事で何よりです。

 昨日,熊野川町畝畑にお住まいの野尻さんの安否を確認すべく,バイクで畝畑に向かってみた。NHKの和歌山放送局の情報によると,畝畑は孤立地区で6名の方がおられるが,物資も運ばれ衛星電話もある,とのことだった。しかし,それ以上のことはわからなかった。で,気になったので行ってみた,というのが今回の記録。

 いろいろネットで見たところ,三重県の紀和町には行けそうだったので,紀和町から熊野川町日足にある三和大橋を目指してみた。道中の写真の多くは別のサイト(Matsup's Motorcycle Site)に載せておいた。道中何箇所が難しい場所はあったが,なんとか三和大橋,そして熊野川町日足に辿りつけた。三和大橋は話には聞いていたが,路面まで冠水した様子が見て取れた。欄干に流木が多数残っていた。まだ橋の手入れまで手が回っていない感じだった。三和大橋は公式には通行止めだった。理由は,路面に泥が残りスリップの危険があるのと,道の両側に流木が残っているから,などと思われる。見た感じは綺麗な路面に見えたのだが…。どうしてもの場合には通れないことはないと思う。もう通行止め解除されてるかもしれない。

 それにしてもあの橋の上まで水が上がったのは想像を絶する。地元の方々の被害は相当なものだと容易に想像できる。日曜日は天候がよかったため,皆さん家財道具を家から出して,路上に積まれていた。きっと全て処分しないと仕方ないと思う。国道168号線の路面には泥が残り,乾くとホコリが舞い上がり,濡れるとヌルヌルで危険だった。散水車で泥を取り除く作業をされていたが,まだしばらくかかりそうな感じだった。自衛隊や他の自治体の災害支援車両等を数多く見たが,もっと多くの組織的な支援が欲しい,と感じた(個人的には何もできなかったので,偉そうにはいえないが…)。

 最終的に,新宮市熊野川町日足,さらにその奥の熊野川町小口まではあまり苦労せずにたどり着くことができた。現時点(2011/9/11時点)では,熊野川町日足までは,熊野市方面から国道311号線で紀和町を過ぎ,瀞大橋を超え,国道311号線が国道169号線と合流する竹筒,国道169号線の四瀧トンネル,宮井大橋,国道168号線経由でたどり着くことが可能である。ただし,国道311号線は瀞大橋を過ぎて狭くなる箇所から国道169号線と合流する竹筒までは交互通行となっていたので,それなりの時間がかかる覚悟が必要である。また,国道169号線と合流して,道幅が広くなった所にある四瀧トンネルは,内部が真っ暗で,かつ路面に泥があるみたいで滑りそうな感じで怖かった。国道168号線は新宮から本宮までは公式には通行止めとなっている(9/12には宮井大橋から本宮までは通行止めが解除になっていた)。宮井大橋〜日足間でも,路面には泥があり,その泥を横に押しのけて積んであったり,周囲の家から出された家財道具などが積まれていたりして,充分な道が確保されてはいない。また,道路自体をきれいにする作業や,家々の片付けなどをされているので,気を付けなければいけない。そのための通行止めであり,宮井大橋から日足まではなんとか(泥だらけになりながら,スリップや作業車,作業されいている方々に気をつけて,ゆっくりなら)走ることはできる。熊野川町日足から新宮までは行けないらしい。新宮市の職員の方がそうおっしゃっておられた。具体的な理由(法面崩落なのか,道路自体が落ちてるのか,など)はわからないが,いけないみたい。ちなみに道の駅・瀞峡街道熊野川も「かあちゃんの店」も流されてなくなった,と聞いた。宮井大橋と日足地区の間には志古地区があるが,その付近は車が路上に転がっていたりして,まだまだ復旧の手が足りていない感じだった。瀞峡観光のウォータージェット船乗り場のドライブイン志古は,めちゃめちゃになっていた(どこかのサイトでジェット船自体は大丈夫とのことだった)。

 さて,肝心の畝畑だが,畝畑に行くには和歌山県の県道229号線を通って行かないといけない。熊野川町日足から小口に行き,そこからr229で畝畑を目指す。小口から畝畑までは約 13 km あり,途中に大きめの長瀞橋があり,さらにトンネルが5本ある。今回,小口までいけたので,せっかくだからと思って(無謀にも)リッターのツーリングバイクで畝畑を目指してみた。路面には木の小枝や葉っぱ,角張った小石が随所で散乱している状況だった。場所によっては全く通常っぽい路面の所もあるが,ほぼ全線にわたって緊張を強いられる状況だった(特にパンク)。長瀞橋までで2箇所か3箇所,法面が少し崩れていた。しかし,小型の自動車なら通れる幅は確保されていた。また,路面には車が何度か通った新しい轍があり,畝畑まで行けるのではないか?と希望を抱かせてくれた(実際には路面崩落のため,バイク・車では畝畑には行けない)。長瀞橋を過ぎて,1号トンネルと2号トンネル(小口から見た番号)の出口はそれぞれ法面から礫が多数落ちてきていた。オフロード車なら通れる感じに踏み固めてあったが,リッターバイクでは恐怖だらけだった。その後も数箇所で石ころだらけの部分(長さ 1m 程度や,1m 未満)が数箇所あった。それでもなんとか5号トンネルを超え,もうちょっと行ったら阿修羅橋(誰かがあしゅら男爵みたい〜,と書いていた橋。正式名称はなんだっけ?)だ,と思っていたら,そこに数台の車と10人ぐらいの人がいた…。私のバイクに気づくと「あー,この先は行かれへんでぇ!」との声。実はその付近で長さ 10 m 程度(目測なので実際の長さは不明)にわたって法面が崩れ,路面ごとなくなっていた。せっかくそこまで頑張ったが,さすがにその先はバイクでは無理だった。残念。そこにおられた方々は中部や九州から応援で来られた国土交通省の人達で,崩落現場を見てどうやって復旧させるかを検討されている,とのことだった。日曜日なのに皆さんご苦労様です。逆に,国土交通省の方々に「あんた,こんなバイクでよう来たねぇ」と呆れられてしまった…。うーん,邪魔しただけだったみたい…。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。

 しかし,r229が崩れている場所から野尻さん宅までは歩いて1時間程度の距離らしかった。実は,新宮市の職員の方が数名,崩落現場から歩いて野尻さん方まで行かれ,戻ってこられたところだった。野尻さんやご家族の安否を尋ねると,「野尻さんもご家族も元気にしてはりますよ。行ったら逆にお茶出してくれはりましたわ。停電みたいやけど,発電機使ってはりました。この先(崩落現場の先)の道はどうってことなくて,物資はここまで車で持ってきて,反対側に野尻さんが車で来はって受け渡してます。消防の方から衛星電話も借りれたみたいですし。畝畑から先も県道が2箇所崩れてるらしくて,係長を車で案内するって言うてはりましたわ」とのこと。係長さんはその後野尻さんの車で崩落現場そばまで送ってきてもらったらしい。でも野尻さんはすぐに引き返してしまわれたので,お顔を拝見することはできなかった。午後1時ぐらいだったので,畝畑まで歩いてもよかったのだが,道路復旧作業(現時点では下見だけだったけど)の邪魔しても悪いし,バイクで小口まで無事帰れるかどうか(パンクの危険が大きかった)もあったので,野尻さんご家族の無事を確認したというこで今回は引き返すことにした。早い時間で後方に人が大勢いればパンクしても修理可能だし…。
  川上村迫の国道169号線崩落現場

  茶色く濁った池原ダム湖

  三重県道40号線の崩落現場

  水没した三重県道740号線

  冠水した三和大橋

  国道168号線から見た三和大橋

  冠水した道は泥だらけだった

  まだ手付かずの車

  国道168号線志古に残る軽トラ

  ドライブイン志古もめちゃくちゃ

 川は茶色いが空は悲しいくらい青かった

 その後,なんとか運良く小口までパンクせずに走れた。帰りは小口,日足,志古,宮井大橋,竹筒,瀞大橋,紀和町と走って,その後国道311号線で熊野市に出て,国道42号線で帰ってきた。国道42号線は,矢ノ川峠区間で3箇所(だったと思う)交互通行だったが,いずれも距離はそんなに長くなかったので,すぐに通過できた。その後は国道42号線,紀勢道ともに順調に走って帰ることができた。

 今回の水害は,四国付近をゆっくり北上した台風12号によって長時間もたらされた雨によるものだが,明治時代の大水害も同様の台風が原因らしいとWikipediaに書いてあった。きっと明治時代の大水害の時も大変だったと思う。ヘリコプターもない時代なので,復旧も大変だったと思う。もう一週間以上経つが,山の奥地はまだまだ復旧していない。多くの方々の多くの支援が必要だと思われる。しかし,私には今何ができるのだろう?こうやって皆さんに伝えることぐらいしかできない。休みを取ってボランティアに行ければとも思うが…。
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2011年9月7日水曜日

台風12号による紀伊半島の主要道の情報

 9/4 を含む週末に紀伊半島を襲った台風12号は甚大な被害を及ぼした。特に紀伊半島が受けた被害は大変なものであり,未だに(9/7)孤立した地区があると聞く。現時点で一番大きな問題が道路関係だと思う。復旧をするにも資材や食料などの運搬が必要なのだが,道路がうまく機能しないと機材が持ち込めず,復旧が始められない,とも聞く。そこで紀伊半島の主要道の情報を探してみた。いろいろ検索をかけてもいまいちいい情報が得られない。台風がまだ日本にある時にはテレビなどの情報がありがたいが,少し時間が経った後だと,ネットなどいつでも見れる情報がありがたい,と感じる。今回は,紀伊半島三県(和歌山県,奈良県,三重県)の道路情報について書こう。

 紀伊半島三県(和歌山県,奈良県,三重県)には,国道だけでも国道42号線に始まり,国道168号線,169号線,309号線,311号線,371号線,424号線,425号線,480号線,などが走っている。またそれぞれの県の県道が多数ある。それらの道路情報(通行止めや通行制限の情報)は,国規模の機関(国土交通省近畿整備局やJATIC)などよりも,国道や県道を実際に整備している各都道府県が出している情報の方が,具体的で,かつ,タイムリーでよかったりする(国道42号線のような直轄国道は国土交通省中部地方整備局や国土交通省近畿地方整備局のサイトで調べないといけないが…)。

 紀伊半島三県(和歌山県,奈良県,三重県)に関してだと,
和歌山県道路情報の通行規制情報(地図と一覧がある)
奈良県道路規制情報
三重県道路規制情報
を見るのがいい。

 ちなみに直轄国道(紀伊半島だと国道42号線)の情報は,
近畿地方整備局道路規制情報
中部地方整備局道路情報供給システム
を見てほしい。

 以下に9/7の時点で如何にすごい状態だったかを載せておこう。

・和歌山県の場合
和歌山県道路情報の通行規制情報の「地図」の9/7の午後のスナップショットを右に示す。これはあくまでスナップショットであり,最新情報は必ず和歌山県道路情報で確認してほしい。9/7の午後の時点で,和歌山県内は普段に比べ通行止めだらけとなっている。特に新宮から本宮にかけての国道168号線はほぼ全面通行止めとなっている。災害復旧車は通れるようになったという噂を聞くが,通常の車はまだまだ通れそうにない。また,田辺付近にも多くの通行止め箇所があるのがわかる。

・奈良県の場合
奈良県道路規制情報のスナップショットを示そう。ここでも最新情報は必ず奈良県道路規制情報で確認してほしい。奈良県内でも9/7の午後の時点で,国道168号線,169号線,309号線など南部で軒並み通行止めとなっている。まさにズタズタの状態である。迂回路がある路線はまだいいが,迂回路がない路線も多く,また大規模に崩落している箇所は復旧に時間がかかると思われるため,地元の方々はしばらく不便とならざるを得ないと思われる。1週間~1ヶ月で復旧できれば御の字だと思われる。下手すると復旧には数年を要するかもしれない。

・三重県の場合
三重県道路規制情報のスナップショット。ここでも最新情報は必ず三重県道路規制情報で確認してほしい。三重県でも9/7の午後の時点で,南部の熊野,尾鷲,松阪の西部,伊賀の西部でものすごい箇所の通行止めが発生している。ここには載っていないが,国道42号線は片側通行の区間があるが一応全線で通行可能なので,それだけがせめてもの救いとなっている。ただし,山間部からの迂回路となっているため,渋滞するかもしれない。




追記『ほっと!和歌山県』~和歌山県広報リレーブログ~で以下の情報を知りました。

(1) 近畿地方整備局・台風12号被災地関連情報
 近畿地方整備局よる台風12号の被災地関連情報で,さらに以下の情報が得られた。

(2) 和歌山県情報館・通行可能ルート情報
 大阪,和歌山,田辺から新宮や,中辺路,本宮へのルートが載っています。

それによると,2011/9/16 現在で本宮に行くには,有田インター(あるいは,川辺インター → 県道26号)→ 国道424号線 → 県道198号線(水上栃谷トンネル) → 国道311号線(中辺路) → 本宮というルートがいいようです。

 ちなみに,東からだと,熊野市 → 国道311号線 → 紀和町 → 十津川村竹筒 → 国道169号線 → 宮井大橋 → 本宮(あるいは熊野川町)というルートになります。
 熊野市までは,奈良県吉野 → 国道169号線 → 上北山村 → 下北山村 → 熊野市,あるいは紀勢道 → 国道42号線 → 尾鷲 → 熊野市というルートでたどり着けます。

(3) 台風12号に伴う災害による道路規制情報(電子国土Webシステム版)

(4) ITS Japan・自動車通行実績・道路規制情報

2011年9月5日月曜日

台風12号に思ふ

 2011年夏の台風12号が紀伊半島に及ぼした被害はあまりに大きく,個人的な思い入れのある地だけに心が痛む。各地の被害状況が写真等で明らかになってきているが(まだまだ全体像はわからない),それらから被害の断片を見ただけで,今回の被害が甚大なものであることがありありとわかる。今年,バイクで国道168号線と国道311号線,371号線の全線を走破した。その際に各所で写真を撮った。写真を撮ることで今まで通過していただけの場所がはっきりと頭に残るからだった。それらの地が今回の台風12号に伴う大雨で軒並みぐちゃぐちゃになってしまっている。

 五條市宇井で熊野川(かなり上流域)のそばが崩れている。写真を見ると,宇井にある宇井大橋の北付近(熊野川が曲がっている付近)が大きく崩落していた。この少し上流の付近では,以前斜面が大崩落を起こして,国道168号線が数年に渡って遮断されていた区間があるが,今回はそのすぐ下流,という感じの場所で,以前の崩落時に迂回路だった県道が土砂で完全になくなっている。宇井の集落を走る国道168号線の旧道から篠原へ分岐していた付近も崩れてしまっているみたい。そのすぐ下流の長殿付近では,熊野川沿いにあった長殿発電所が冠水したらしい。あの辺りは随所で川と同じぐらいの高さに国道168号線が走っているので,かなりの区間が水に浸かったのではないだろうか?
追記)映像を見ると,長殿にあった発電所は残骸だけを残して消えていた。やはり凄まじい水の破壊力だったみたいだ。他にも辻堂にある国道168号線の最狭区間付近で土砂崩れがあり,そのため宇井に重機が入れないみたいだった。迂回路の県道が土砂崩れのために使えないので,まさに陸の孤島になっているみたい。うーん,何が私にできることはないだろうか??

 南に下ると風屋ダムのすぐ下流,風屋ダムから発電所に水を送る導水管が国道168号線と熊野川を越える付近でも斜面の崩落が起こり,その衝撃で熊野川の水が鉄砲水のようになり,導水管付近の家屋が水で流されている。さらにその下流,十津川村役場と十津川温泉の中間付近にある折立では,国道168号線の折立橋が流されている。この橋は少し古い橋みたいで,道幅が1.5車線という感じの橋だった。そのため今回の大量の水に耐えられなかったのかもしれない。十津川は村に通じる幹線道路がすべて遮断されているらしい。なんとか早く救助や支援が入れればいいのだが…。

 もっと下流,和歌山県に入った本宮付近から下流では熊野川が氾濫し,そこら中で家々や田畑が水没してしまっている。本宮大社付近でも熊野川の本流が溢れ,大斎原(明治まで本宮大社のあった場所)にある大鳥居の周りも冠水していた。明治にも大水害があり,そのために本宮大社はこの大斎原から現在の地に移動した(神社の場合はなんていうんだっけ?遷宮だっけなぁ?)と話には聞いていたが,今回の平成の大水害も大斎原が冠水したということから明治時代の大洪水に匹敵するものかもしれない,と思った。明治の時にも多くの場所で山が崩れ,多くの方が亡くなられたと聞く。そのため今の十津川村から(昔は北十津川村とか西十津川村とかって分かれていたらしい)数千人の方が北海道に移住されて今の新十津川町を作ったとも聞く。

 本宮から少し下流に行った辺りの熊野川町日足(ひたり)付近は早い段階で冠水していた。ここは今年の台風6号の時にも冠水していたように思う。ここも今は新宮市になっている。新宮市ってとても広い地域をカバーしていて,今回の災害では担当者は全域の状況をくまなく把握するのは難しかったのではないだろうか?そういえば熊野川町から川をさかのぼった奥にある畝畑の野尻さんはお元気だろうか?今年はまだ畝畑を訪れていないのだが,和田川もかなり多くの水が流れたと思う。畝畑に通じる県道229号線もどうなっているのかわからない。ご無事だといいのだが…。メールを送ってみたが今のところ返事がない(9/6火曜日夜)。今どこにおられるのだろうか?小口か熊野川中学辺りに避難されているといいのだが,熊野川地区は早い段階から冠水していたので,難しそうやなぁ。気になるが,熊野川地区まで行く国道168号線がずたずたっぽいので,今のところ私は行けそうにない…。残念だ。
追記)NHK によると,
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9月6日15時9分
新宮市では14地区で、508世帯868人が孤立しています。
………
▼畝畑地区では、2世帯6人
………
が孤立しています。
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だそうだ。ご無事を祈るばかりだ。
追記2)NHK によると,9月7日10時29分現在の情報で,畝畑が孤立している地区リストからはずれていた。きっとご無事だと思っている。多分小口か熊野川町日足に避難されているのではないだろうか?(直接確認したわけではなく,推測の域をでないのでご注意を)
追記3)9月8日9時6分現在の情報では,畝畑が孤立して地区リストに入っている。
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▼熊野川町畝畑地区の2世帯6人
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さらに,和歌山県の道路規制情報を見ると県道229号線が路肩欠損のため通行止めとなっているみたい。畝畑は完全に孤立しているみたい。食料とか大丈夫なのか不安だ。

 奈良県の上北山村では雨量が数日で 1800 mm 以上も降ったらしい。そんなに降ったら大変なことになっていそうな気がするが,情報がぜんぜん入ってこない。どうなっているんやろ??国道169号線は川上村付近で通行止めになっているみたいだが,上北山村自体の情報はないなぁ。詳しくは奈良県の道路情報三重県の道路情報和歌山県の道路情報を見て欲しいが,国道も軒並み通行止めになっている。県道や林道はもっとひどいと想像できる。
追記)映像によると上北山村の大台ケ原では 2400 mm の雨量を記録したらしい。それってめちゃめちゃな量やん。川上村役場付近の国道169号線の横の斜面が大きくずれ,国道がなくなっているので,上北山村にはいるのも難しそう。
追記2)国道169号線は川上村付近で一部通行止めのようだが,迂回路があるらしく,上北山村へは行けるらしい。また,意外と被害が少ないとも聞く。

 まだ被害の全体像は見えないが,おそらく紀伊半島はずたずたになってしまっていると思われる。上記は主に熊野川(十津川,新宮川とも呼ばれる)周辺だが,田辺市龍神村付近や北山川沿い,天川村,高野山,吉野,三重県の大台町や熊野市,古座川町…気になる箇所は多数ある。以前,国道371号線が数年に渡って一部区間が通行できなくて,最近やっと通れるようになったのだが,今回の台風で多くの道が数年単位で通れなくなってしまいそうだ。今年は国道425号線の全線走破もしたいと思っていたが,今回の台風で数年はできなさそうになった気がする。やはり自然には勝てないと思ってしまう台風であった。

2011年9月2日金曜日

とあるマスメディアについて

 先週,一人の芸能人が急遽引退した。全国ネットのテレビで6本レギュラーを持っていたから,急な引退発表でテレビ局は大慌てらしい。しかし,テレビを見ていてもいまいち違和感を感じない。なんでかなぁ?と理由を考えてみた。思い当たった理由は,私はかの芸能人の方の芸風(司会を芸風と称してもいいものかどうか…)が嫌いで,彼が司会をしている番組をほとんど(全然?)見ていなかったからだった。だからテレビを見ていても,普段と特に変わりがなかった。それで違和感がなかったみたい。引退会見の記事などを読むと,彼が引退会見で話した程度の事なら,あんなに急な引退というのは考えられないと思う。逆に言うと,彼が引退会見で話した内容は,引退に至った理由のほんの一部しか話していないように思える。まぁ,テレビとネットの情報だけしか無いので,何がどうなってるのかはわからないが…。
 そんなこんなで,ふとテレビについて考えてみた。というか,考えていることを書きたくなった。個人的にはバラエティと言われるテレビ番組は好きではない。スポーツやニュース,ドキュメンタリーは好きだが,バラエティはねぇ…。クイズ番組なら知識を得られたりするからいいのだが,単に芸能人がだらだらとしゃべっているだけ,とか,以前あった番組みたいに下手な芸能人のカラオケを聞かされる番組など見ても全く意味が無い。クイズ番組でも,だらだらとしゃべりがあって,その合間にちょっとだけ意味のない問題を出す,というのはバラエティと同じ範疇に入るので,全く意味がない。そういえば,かの芸能人氏の番組でもそんなのがあったなぁ…。そういえば民放のドラマも好きじゃないなぁ。だって,作りが甘いねんもん。見ていても,短い時間で適当にささっと作ったという感じがありありと見えて,どうものめり込めない。それに比べると映画はかなりしっかり作り込むから,見ていて納得できるねんなぁ。まぁ,映画でも駄作は多いが…。そういえば,とある放送局が韓流ドラマをいっぱい放送していろいろ言われてるなぁ。個人的には韓流ドラマもテレビドラマの範疇に入るので,特に見たいとは思ってない。だから見てなかった。あの放送局は,以前,面白くなければテレビじゃない,というキャッチフレーズを使っていたが,それでも番組は面白くないのがほとんどやったなぁ。なんでテレビ業界の人って見る人の事を考えないんやろ?あれ?もしかして,あの放送局の番組を見て面白いと感じる人が多いのか??もしそうなら,とっても憂うべきことやと思うなぁ…。