2016年8月21日日曜日

試練と憧れの山へ

2016年8月14日に念願の剱岳に登った。 ルートは日帰りしやすい,という理由から,ハードな馬場島から早月尾根を往復してみた。

前日の夕方出発して,登山口のある馬場島に着いたら前日の午後11時だった。 そこで仮眠して明るくなったら登り始めようと思っていたのだが,興奮していたのかぐっすりとは眠れなかった。 そこで,暗いうちに出発することにした。

出発は午前2時半だった。登りはじめると,いきなり急登だった。 かなり一気に高度を上げたのち少し傾斜が緩やかになリ横移動と緩い登りの後に標高 1000 m の標識があった。木のベンチもあった。 そこでほっとしたのだが,ここからが辛い辛い試練の道だった。 標高 1000 m の後,しばし横移動したら,そこからはひたすら急登だった。 1000 m から上は,標高が 200 m 上がるごとに標識があるが,なかなか次の標識までたどり着かない感じだった。

標高 1000 m から上の登山道は標高が上がるにつれて険しくなる感じがした。 丸太の梯子や,樹の根をよじ登ったり岩をよじ登る感じの場所が沢山あった。 1600 m 付近には狭い尾根の所もあリ,横に踏み外すとかなリ落下しそうな場所も沢山あった。 2000 m にある池からもかなリ険しい道程だった。距離は別にして,とにかく急だった。 それを乗り越えると広場っぽい小ピークに出た。すると少し下がった所に早月小屋が見えた。 小屋の前にはテントも沢山あった。

標高 2200 m 付近の早月小屋までは何とかたどり着いた感じだった。その時点で,山頂まで登れるか不安だった。 しかし,せっかくここまで来たから,ゆっくりでもいいから行けるところまで行こうと思い,頑張って先を目指すことにした。 2200 m から先も急登が続く。それまでと違い,岩場が増え木が減った。あの辺りが森林限界みたいだった。 その先にはハイマツと高山植物しかなかった。 登山道をゆっくり登って行くと,やがて稜線に出た。さすがに眺めはよかったが,崖の下を見るとなかなか怖かった。 近くに劔御前や大日岳が見えていてきれいだった。

2600 m の手前にはやせ尾根があり,岩を乗越え,樹の枝を踏んで進む区間があった。 またガレた急登はそこらじゅうにあった。 しかし,その辺りに来ると左側に小窓尾根や剣尾根が見えるようになった(どこが小窓尾根でどこが劔尾根なのかはわかってないが…)。 また正面には剱岳が見えるようになった。 しかし,まだ山頂はかなリ上の方に見えた。先は長そうだった。

2600 m の所から見ると目の前に壁のようにピークが見える。登山ルートはどこ?と思ったらその壁を人がよじ登っていた。 2600 m からはちょっとしたピークを越えたり巻いたりして高度を上げて行った。 所々右下の崖の下が見えるが,数百 m の落差がありそうで,滑落するとヤバそうだった。 標高 2800 m の標識を過ぎても剱岳のピークはかなり上に見えた。 その先は稜線を行き,岩をよじ登り,さらに険しくなっていった。 この辺りになると岩ばかりの感じになっていた。 標高 2900 m ぐらいにカニのハサミと呼ばれる場所があり,鎖を持ちながら一本だけ壁に打たれたボルトを踏まないといけない場所もあった。

カニのハサミの先は少しましな場所もあった。その辺りからは室堂付近や劔沢キャンプ場,劔澤小屋がよく見えた。 また劔沢からのルートの平蔵の頭付近もよく見えた。 2900m 付近から先で鎖がいくつも続く壁のような区間を乗り越えると,急に傾斜が緩くなり,劔沢からのルートと合流した。 そこから傾斜のゆるい区間が山頂に向かって続いていた。 そこを歩いていくと,やっとのことで憧れの剱岳山頂に到着した。 早月小屋から3時間程,登山口から7時間程で登った。

山頂では,まずは他の登山者の方に頼んで祠の前で記念撮影しておいた。 しっかり山頂の碑を抱えて写真に収まったおいた。(ここには載せてないが…) 登った日の剱岳山頂付近は快晴で周囲の山々がとてもよく見えた。 しっかりと写真には撮らなかったが,富士山も槍ヶ岳も見えていた。 めちゃめちゃ気持ちよかったなぁ…。ただ,帰りを考えるとかなり不安になってしまったが…。 それでも,しばし写真撮ったり休憩したりして山頂を満喫した。

山頂に20分程いてから下山を始めた。 下山は思ったよりも怖くはなかった。 それでも下りでは下を見ながら下ることになるので,かなりドキドキしながら下っていった。 普通,そこらの低山なら下りはかなリ楽になるが,剱岳の下りは全然楽になるどころか,むしろしんどいぐらいだった。 いかんせん斜度がきつくて辛かった。登ってくる人たちとのすれ違いも多く,退避する場所が少ないので結構気を遣った。

何とか早月小屋まで下りた時はホッとした。3時間で登った区間の下りに2時間20分もかかってしまった。 早月小屋前でしばし休憩してから登山口目指して下り始めた。 早月小屋から登山口までの下りもなかなかペースがあげられなかった。 すでにパンパンだった足には急な下り坂が延々と続く感じだった。 4時間で登った区間の下りに3時間10分もかかってしまった。 ここでも標高で 200 m ごとの標識までが遠かった。 特に標高 1800 m から 1400 m 辺りが辛かった。ひたすら足の辛さを我慢して下る感じだった。 それでもなんとか 1000 m まで下った時にはかなリホッとした。しかし,そこからの高低差 260 m がさらに辛かった。 最後の最後に急傾斜があり,ほんとに泣きそうだった。やっとのことで下り終わった時には放心状態だった。

登山口では行きに撮れなかった石碑の写真を撮っておいた。 その後,めちゃめちゃ汗をかいたので,車で馬場島荘前に移動して,500円でお風呂に入った。 温泉ではないが,やっぱりお風呂で汗を流すと気持ちよかった。 お風呂ですっきりして,冷たいジュースを飲んだ後,のんびりと帰路についた。

今回は早月尾根経由で,憧れの剱岳に登ってみた。 往復で13時間程かかってしまったが。我ながら頑張ったと思う。

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