2008年7月7日月曜日

ハシゴとカプサイシン

これは昨日の話。カプサイシンって何かって?それは唐辛子に含まれる辛い成分。それをくらってしまって,昨日は大変でした。

昨日は日本の滝百選の中で一番見るのが大変だといわれている双門滝(奈良県天川村)に行ってみた。一緒に行ってくれそうな人がいないので,ひとりで行くことにした。で,行く前にネットで「双門滝」で検索して勉強してみた。どうやらかなりハードらしい。それなりの準備をしないと危険みたいだった。そこで,カラビナとかスリングなどを幾つか買ってみた。ザイルも買ってみたが今回は不要だった。あと,登山で怖いのが熊,蛇,ヒル,蜂,アブ・ブヨのたぐい。熊さんだけは出会うとこわそうなので,熊よけ鈴や熊よけスプレーを買ってみた。この熊よけスプレーの成分が実はカプサイシン。それを間違ってくらってしまったから,ひりひりして大変だったのでした。

双門滝へは,天川村の川合から,みたらい渓谷をすぎた辺りにある熊渡というところまで行き,そこから歩く。熊渡に着いたら8時前。熊渡の辺りは車が5~6台止めてあった。みんな山登りか,釣りをしているみたいだった。半ズボンの下にタイツを履いて,靴を履いた。上は長袖のシャツを着た。とても暑かったので,上着は必要なかった。あと,腰に革のベルトをした。ハーネスがあった方がよかったが,今回は買っていなかった。他にもUVカットの帽子をかぶって行ったが,ヘルメットがあった方がよかったかもしれない。でもネットで見てるとみんな普通の登山の格好で行ってる。うーん,みんな怖くないのかなぁ?

熊渡からしばらくは未舗装の林道を歩いていく。時間にして30分ぐらい。するとちょっと開けたところがあって,左に下る道が見える。その道を5分ほど下ると白川八丁と呼ばれる河原にでる。河原と言っても,水はない。伏流水らしい。そこを20分ぐらい歩いていく。人っ子一人いなくて,ちょっと不気味な感じだった。いたのは鹿ぐらい。人の気配を感じで走って逃げて行った。こんなところで怖いのは熊。登山用のストックを引きずりながら歩いて,熊が近づかないように祈っていた。でも早朝じゃないから多分大丈夫だと思ってはいたが。

やがて水がでてきた,と思ったら滝が見えた。これが釜滝らしい。でも水がほとんどないぞ。どうやら関電の発電用に取水してて,ほとんど残ってないみたい。ここから山道に入るが,ここで大失敗。熊よけのスプレーをいじっていて,誤噴射してしまった。それが足にかかってしまって,ひりひりして困った。カプサイシンという唐辛子のきつい成分なのだが,これが痛い痛い。顔もひりひりしたが,顔は洗うとしばらくしたら痛みは引いた。ところが足はズボンに浸み込んでいたみたいで,帰りまでヒリヒリして困った。最後はステロイドが入った虫刺され薬を塗ったら,炎症が治まった。ただし,ステロイドを塗ってしばらくは激しくひりひりしたが。

そんな事故もあったが,とりあえず先に進んでみることにした。まずは右岸(下流から見て川の左側)をしばらく進む。斜面の上にあるハシゴを歩く。この先ハシゴや桟橋が出てくるが,めんどくさいからみんなハシゴと書く。最初のハシゴはいいが,その後,崩落したハシゴが随所に見られた。あるものは落ち,あるものは傾き,岩が突き刺さったのもあった。歩けるものも結構あったが,歩けない場合は「巻く」必要があった。ひどいのはかなり上の方まで巻かないといけなかった。途中反対向きに歩いてくるおじさんに会った。先の様子を聞いてみてる。おじさんは一の滝まで行ったらしいが,そんなにひどくはない,とのことだった。結局熊渡から出発して,熊渡まで戻る間に会ったのはこのおじさん一人だった。とりあえずぐんぐん進んで,何度か巻いて進んだ。一番激しく巻いたら道が河原にでた。すかさず顔を洗う。ちょっとひりひり感がましになる。その辺りで,徒渉する。徒渉ポイントには目印があったし,いい感じで岩があったので,全然濡れずに済んだ。

徒渉後は左岸(下流からみて川の右側)を一の滝まで行く。途中,大きな岩の辺りを登ったり,へつったりしないといけなかった。橋があり,斜面があり,よじ登っていくと吊橋が見えた。吊橋のそばに滝がある。まずは滝の正面にでる。これは下が一の滝で,上が二の滝らしい。とりあえず記念撮影して,水分補給。今回はポカリスエットの500ccを3本持って行ったが,全然足りなかった。時刻は9時半ぐらい。意外と早い。これなら余裕で双門滝にたどり着きそう。

でもここから先が大変だった。いきなり急な上りが始まる。ステンレス製のハシゴがあり,それを登るときつい斜面がある。さらに行くとハシゴのオンパレード。きついハシゴは垂直に近い。ハシゴとハシゴの間の斜面もかなり急。ルートは赤や青,黄色のテープやリボンがあるので判別できるが,なんでこんなところにルートが?と思う箇所が随所にあった。ネットでハシゴは30個ほどあるのを知っていたが,それにしてもきつかった。息があがって,数歩進んでは休憩を繰り返しながら登っていった。木の根をよじ登ったり, 50cmぐらいしか幅のない馬の背を歩いたりして,かなり怖いところもあった。24番ハシゴ辺りからさらに激しくなった。斜度もきつく,後に木がないため,とても怖い。特に27番付近はむき出しの岩に沿ってハシゴがあり,途中ハシゴなしで鎖だけの場所もあった。さすがに落ちたら大変そうで,足もすくむ。そこでカラビナ&スリング登場!2セットを使って,1個ずつ鎖にひっかけながら進んだ。そうすると安心感が生まれて,すごく楽な気になった。これまたネットでみるとみんなカラビナとかなしで上がってるみたい。怖くないのかなぁ?そのうち気づくとてっぺんぽい所についた。正面には大きな壁がある。どうやら千石グラみたい。それにしても滝が見えないぞ。双門滝はどこ??道はこの先下っている。仕方ないので,先に進んだ。この下りもかなり激しかった。やがて下りの階段が出てきた。 29番って書いてある。さらに行くとちょっと開けたところがでてきて,水の音が聞こえる。階段は32番まであって,広いところにたどりつけた。登りきった所だと勝手に思い込んでいたみたい。

どうやらそこが仙人グラテラスみたい。端の方にいくと大きな滝が見えた。おぉ~,あれが双門滝だ。やっとたどり着けたぁ~着いたのは11時ごろだった。身も心もよれよれだった。とりあえずは昼飯,と思ったが,暑いのと疲労で食欲がわかない。なんとかおにぎりを一個食べたが,それ以上は無理。仕方ないので液体燃料作戦で,ポカリスエットだけにしておいた。時間は3時間ほどだが,結構大変な道のりだった。後半の上りは辛かったし,斜面は怖かった。落ちたらどうしよう,と思うところが随所にあった。この先狼平行って別の道を降りる元気はないので,同じルートを帰る,と思うと,あまりのんびり滝を鑑賞する心のゆとりはなかった。なので10分ほどテラスにいて,そそくさと帰ることにした。ちなみに結構みんなこの先河原小屋から狼平まで行って,別のルートで歩いて降りる,というルートを1日で歩いている。12時間歩いた,とかって書いてあったりする。みんな元気やなぁ

帰り道,ハシゴを全部写真に収めてやろう,と思って下りだしたが,写真を取れたのはちょっとだけ。あまりに急な斜面で,写真よりも安全第一で,ハシゴ写真はあきらめた。それでも難所では止まって写真を撮ってみた。下りの最初の難所はむき出し岩の鎖のみのところ。ハシゴ番号27番の付近。下りは上り以上に怖かった。下りだと岩のどこに足を乗せればいいかが分かりにくかった。カラビナとスリングがなかったら行けなかったかもしれないなぁ,と思った。とりあえず眺めのいいところで止まって,岩とかハシゴとかの写真を撮った。難所をすぎると少し楽になった。やはり下りの方が足が楽だなぁ,と思っていた。しかし,ハシゴのないところは斜面に立つので,結構足にきて,疲労が溜まっていった。次の難所は14番付近。でもこっちは27番付近に比べるとまだ余裕だった。それでも念のためにハシゴの横の鎖にカラビナをかけながら降りて行った。

なんとか一の滝のところまで降りてきたのは12時半ごろだった。少し休憩したが,あまり長く休むと足が動かなくなりそうな気がしたので,また先に進むことにした。ここからは大きな岩を降りないといけなかったりする。下りだから余裕だと思っていたが,これまた結構辛かった。一度50cmほど飛び降りたら,踏ん張れずにごろんと転がってしまった。徒渉ポイントまで戻った時には,すごくほっとした。徒渉ポイントで腕や頭に水をかけてみた。腕はカプサイシンでまだひりひりしていたのと,頭はぼーっとしていたから,冷ための水で冷やしたかったから。でもここから先にあの激しい巻きがある。足がもつかなぁ?と思いながら先を目指す。ちょっと登るだけでもかなり足にくる。やっぱりいきなり双門滝は無謀だったかなぁ,と反省しきり。それでも登る高さがあまりないので,なんとか乗り切って,釜滝に着いたら1時をすぎていた。ここで最後のポカリスエットを飲み切ってしまう。この後いつ水分取れるのか,と心配になってしまった。とりあえずカラになったペットボトルに沢の水を入れておく。あまり飲みたくないが,どうしてもなら仕方ないから飲もうと思っていた。結果的には飲まずにすんだが。

釜滝からは白川八丁を進む。これは日向で辛かった。時刻は午後1時過ぎ。一番暑い時間帯。よれよれになりながら白川八丁を歩く。白川八丁ではまた鹿を見た。人がいないと鹿って出てくるものだ。すぐに逃げたが。白川八丁をすぎて林道に出たら一安心だった。でもまだ30分以上歩かないといけない。辛かった。ひたすらストックを引きずってだらだらと歩いた。それでもなんとか熊渡まで戻った。とりあえず荷物を下ろす。それからカプサイシンがついた長袖シャツを脱いで,腕に水をかける。でもひりひりするので,ステロイドの入った虫刺され薬を塗ってみる。結果はすぐにはでなかったが,その後しばらくはかなりピリピリして辛かった。でも炎症は引いたので,ステロイドは効くみたい。

さっさと着替えをして,荷物を詰め込んでバイクで出発した。みたらい渓谷の休憩所でジュースを飲んだ。スポーツドリンクがないというので,クーを飲んだ。やっぱりスポーツドリンクの方が飲みやすい。それでも500ccをあっという間に飲み干した。それから黒滝の道の駅を目指した。そこならアクエリアスがあったはず。道もいうほど大変じゃないし。ということで出発。川合までは狭いが,そこからは片側1車線で,長いトンネル2個を過ぎて,ちょっと下ると黒滝の道の駅だった。そこでアクエリアスを自動販売機で2本買って,1本はすぐに飲み干した。もう1本は道の駅でしばらくぼーっとしているつもりだったので,キープしておいた。結局出発までには飲み干したが。今日はなんと3リットルも飲んでる。でもトイレはほとんど行ってない。やっぱり脱水症状気味だったのかなぁ?道の駅で1時間ほど休憩した。 30分ほどはうとうとしていたと思う。それから吉野経由で帰った。途中,コンビニでアイスを食べた。他のものはまだ食べれなかった。飲み物もさすがにいらない,と思った。

帰ってから,風呂に入ろうと思ったら,こんどは太ももの辺りがひりひりしてる。ここは一番カプサイシンがかかったあたり。ちょっと炎症をおこしてるみたい。でもお風呂に入りたかったので,挑戦してみた。まずは水のシャワーを足にかけてみた。それは大丈夫。じゃあ,お湯は?痛くて痛くて全然だめだった。海水浴で日焼けしすぎた時みたいな感じだった。とりあえず全身洗って,お湯に浸からずにでた。それからステロイド入り虫刺され薬を炎症してるところに塗って,扇風機の前で座っていた。しばらくピリピリしていたが,そのうちすーっと痛みがひいた。やっぱり薬はきくなぁ。カプサイシンを浴びたズボンはオレンジ色のしみがいっぱいついていた。洗濯してみたが,色は落ちてなかった。どうやって洗えばいいのかなぁ?

ま,無事に帰れてよかったよかった。今回の反省点として,リュックサックの容量が足りなかった。もう大きいのが欲しいなぁ。次回はこんなに激しくなくてもいいから,弥山とか山上が岳にも登ってみたいなぁ。

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