2007年1月14日日曜日

硫黄島・再考

忙しい時ほどほかの事をしたくなる。
 で,ふとヤフーの映画の感想を見てみた。興味ない映画の評価を見てもおもしろくないので,硫黄島からの手紙の評価を見てみた。ざっと見ると★が4~5が多い。評価は高いようだ。で,★の少ないものを見てみた。
 よくわからないのだが,みんな映画に何を期待しているのだろうか?ひどいのはポップコーンを食べながら観る映画じゃないというのがあった。戦争映画を観に行ってポップコーンか?
 批判的なものの中で多かったのが史実と違うという点。残念ながら史実関係の本とか読んでないのでよくわからないが,高々2時間や3時間で全てを描くのは無理があると思う。それなりに創作して架空の人物とか入れてストーリーを作らないと仕方ないでしょ。そういう批判をする人たちの多くは硫黄島で死んで行った英霊に失礼と書かれておられる。しかし,その人たちが硫黄島がどんなものだったかを知ったのは,映画の公開の頃にテレビ局が放送したドキュメンタリーだったりする。あるいは父親達の星条旗だったりする。その後,本を読んでそれと違うからだめだそうである。むむむ?あんたらなんのおかげで史実を知ったの?それ以前から知っていて批判する人も多く見受けられたが,その人たちは映画が作られる前にどれだけ戦争の悲惨さを人に伝えていたのだろうか?
 かと思うと,ストーリーがない,ってのもあった。ドキュメンタリータッチ過ぎると。あるいは戦闘シーンがむごすぎると。それは仕方ないでしょ。それが戦争だし,個人的にはもっともっとひどいものだったに違いないと思うなぁ。嫌なら戦争映画観なければいいのに。何故戦争が悲惨かというと,最前線に立たされる人間は死んで当然と考える上官が指揮するのが戦争で,最前線に送られた人は悲惨な目に遭わざるを得ない,ってところ。そういう意味だとプライベートライアンの最初のシーンは怖かったよなぁ。とにかく,人に感動を与えるのは結構ドキュメンタリーの方がよいと思う私からするとわからない意見だった。
 いずれにせよ,確かに犬を殺すシーンは違ってもいいかなと思ったり,あの戦場に馬ってのもなんか違和感を感じたし,一人アメリカ兵を助けたのもどう?と思ったが,でも,ああいう映画をアメリカ人がハリウッドで作るってはすごいことだと思うなぁ。少なくともアメリカ人がアメリカ人に向けて作ったという視点からみるとかなりインパクトがあると思うなぁ。アカデミーは難しいと思うけど。 ほんとに硫黄島で亡くなった日本兵のことを想ったのはクリントだったと思うなぁ。そうじゃないと映画なんて作られへんやん。
 一方日本人の監督が撮るべきだったという批判も多かった。アメリカ人には日本人の心がわからない,というものだった。今の日本人の監督が撮ってもわからない,という点では同じではないだろうか?当時の日本人の思想を理解してない,ってのもあった。少なくとも私自身当時の思想は理解してないが,天皇のためと言って死んだ思想はどんなもんよ?戦後価値観がコロッと変わったってことは,心底そこまで思っていた人はいなかったってことではないのか?それを「理解」して,映画に描いてどうするの?それは結局その思想を美化するだけで,映画の趣旨とは違うでしょ?それに幾ら口では天皇陛下万歳と言っていても多くの人は心の中では死にたくないって思ったと思うなぁ。
 さて,人の作品を批判するのは簡単なので,私の批評に対する批判も他の人の映画に対する批判と変わらない。なので,感想のページに投稿する気もなく,ここにこっそり書いている(根性ないなぁ~)。しかし,人を批評するってのはそれなりに相手に対する敬意が必要だと思うなぁ。さすがに多くのプロの批評家はバッシングの可能性があるので,あまりひどいことを書かないが,ネット上の書き込みはひどいのが多いなぁ。なぜだろう?やはり罰がないからだろうか?匿名性ってやつか?
 さて,私の文章はどうでしょう?あまり偉そうな事はいえないよな,きっと。

3 件のコメント :

aikoro さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
aikoro さんのコメント...

仕事からブログに現実逃避しましたね!?

koroはネットの映画評価ってほとんど見ないです。皆好きなこと書いてるし。
ネット掲示板って大方そういうもんなんだろうね。やっぱり匿名って鎧があると何でも書き易いと思う。
掲示板に書かなくてもこうやってブログに思ったこと書いたらいいんだと
思いますよ。

koroはこの映画を観てないから
戦争映画について思うことを徒然なるままにコメントします・・・
(ごめんなさいちょっと長すぎ?)

まず、戦争映画を観に行ってポップコーンはない。

"硫黄島で死んで行った英霊に失礼"ってなに?
映画ってどんなに文献読んだり研究して真実に基づいて制作したとしてもフィクションになっちゃう。
ストーリー性におもしろさがなければみんな観ないんじゃないの?マスコミで話題にならないんじゃないの?
それとも"忠実"に作っていたほうが観に行くのかな?そんなことないよね。
日本人監督が作ったほうが良い映画が出来たの?どうだろ?
クリントイーストウッドが作ったっていうから話題にもなったし、スポンサーもついたんじゃないかな?
日本通の外国人のほうが"日本の心"を知っていることも多いし、日本の伝統を大事に思う気持ちを持っていることも多い。
誰が作るにしてもどれだけ真剣に取り組むかっていうことじゃないかな?

真実はこの戦争で戦地に行って命掛けて戦った本人にしか解らない。例えその人たちが書いた手紙が見つかったとしても、その手紙にどれだけの思いを綴れたんだろう?文章を書くとき、心の中を全て文章で書くことが出来る人がどれくらいいるのかな?
その"英霊"たちの家族、友達、恋人それぞれの気持ちはそれぞれの立場に立たないと想像出来ても解んない。

戦争映画には戦闘シーン、悲惨なシーンが付き物だし必ずある。見せ方は大事とは思う。ただドラマチックに描いておけばいいってもんではないし、悲惨さばかりを描けばいいってもんでもないと思う。

思えば、koroは戦争映画をあまり観た記憶がないなぁ。やっぱり戦争の残酷さや悲惨さが観てられないし、昔の軍国主義の理不尽さが理解できない・・・
一人の祖父が戦死してkoroは会えなかった。もう一人の祖父は顔を打たれて歪んでしまっていた・・・戦争はいけません。

こういうことを考えさせるだけでも
戦争映画は有効かと思います。。。

らいだぽよ さんのコメント...

koro様,

またまた現実逃避しています。今Grenobleからです。こっちは夜中の2時です。

長いコメントありがとうございます。結構共感できることがありますね。私の身内には戦争で死んだ人がいない(知らないだけ?)のですが,自分がその立場に立たされたら,と思うとほんとに怖いです。それも無責任な上官だったりすると....それって如何に上に立つものを教育しないといけないか,ってことにつながるのかなぁ?でも今の世の中誰もが上に立つチャンスがあるので,一般の教育の問題かなぁ?